出版社内容情報
「週刊文春」で衝撃的「大胆表現」と紹介され話題をよんだ美少女歌人の初短歌集。少女期から大人への危うさをフレッシュな感性で綴る
内容説明
３１文字の衝撃的世界に誘う、少女歌人の大胆表現。
目次
十七歳
とりこわされる喫茶店
苦き乳房
飛びたてぬ十九
微熱もつ腕
少年と呼ばれし日
サザンのバラード
牛乳のような雪
そのてのひらと
一瞬の風
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
297
かつてアンソロジーで目にした一首「夏服の君立ちつくす二番線 蝉時雨降る八月五日」。田舎の駅のホームに佇む君。君は夏の光を身体中に浴びた上に、君の制服の夏服の光の反射が眩しい。岡しのぶの名が私の記憶に深く刻印された。現役高校生のアマチュアの歌だと思っていた。今、その歌に十数年ぶりに再び巡り合った。彼女の16歳から19歳に至る感情の軌跡がここにある。どの歌からも鮮烈な抒情が横溢する。福島泰樹の『バリケード・1966年』に出会った時以来の震えだ。こうした歌群を前にすると、抒情の勝利を宣言せずにはいられない。2016/02/20
seri
65
びいん、と強く強く張った張りつめた弦をかき鳴らすような。薄氷の上を渡るような。ヒリヒリする純情、燃え盛る青春、はりつめた若さ、そんなものが、めいっぱい詰まった歌集。強く張られた弦がかき鳴らす音楽はこちらの心の琴線までも力強く揺さぶっていく。この痛々しいまでの瑞々しさはきっとこの時にしか得られないものだと何故か分かってしまう。誰もがどこかで覚えのある感情だから。でもだからこそ、こんなにもかき乱される。胸に爪をたててゆく。もっとこの世界を見たい、でもこれ以上は火傷してしまう。だからきっと、一冊でちょうどいい。2014/08/27
おくちゃん🌹柳緑花紅
52
岡しのぶさん、十九歳の時の歌。本当に十九歳？と唸った。もし君と結ばれなければ月の出る夜だけに咲く桔梗になろう/この朝の光が君を連れ去るのならば私は陽を射ち落とそう/あなたと出会った春がまた来たさくらさくら桜咲いても私はひとり/飛び立てぬ十九の私いつまでもあなたの中で羽をぬらして/十九歳の激しく一途な愛が伝わります。2014/07/24
双海（ふたみ）
16
再読。懐かしい読後感。過ぎ去りし青春に思いを馳せて。著者が旭川工業高等専門学校の在学中に詠んだ短歌たち。「かすみゆく君の姿を佇ちつくし見つめた日々も遠き如月」「潮風と恋にしめった髪を編むその唇をなぞった指で」「少しだけ風が出てきた 月光の中で抱かれてふたり静物」2019/08/28
双海（ふたみ）
13
恋をした19の少女にしか詠めない歌。所々にモノクロの写真がある。「もし君と結ばれなければ月のでる 夜だけに咲く桔梗になろう」・「また一日かけて熟している廃墟 西陽のなかに影をおとして」2018/12/15
