内容説明
命を賭した忍術合戦!美しきくの一たちが仕掛ける妖艶な忍術とは…。他では読めない忍法ものの傑作が、今ここに忍術のごとく蘇る。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922~2001。1922(大正11)年、兵庫県に生まれる。豊岡中学を経て東京医大に学び、在学中に執筆した「達磨峠の事件」が『宝石』の第1回懸賞小説に入選。昭和24年に「眼中の悪魔」、「虚像淫楽」で第2回探偵作家クラブ賞を受け、平成9年、「大衆文芸に新しい境地を開いた業績」により第45回菊池寛賞を受賞した。デビュー後、伝奇的時代小説でも活躍、荒唐無稽な、いわゆる風太郎忍法を創出し忍者ブームの幕を開けた
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほしけも
10
知的障害者を登場人物や地の文が馬鹿だ馬鹿だというし、脳卒中の後遺症でハフハフ言う口調はギャグ扱いだしでなかなかブラックな笑いを楽しめます。お話的には善悪がはっきりしててあんまり陰惨ではない部類。ヒロインの性格は現代でも通じそう。2015/11/28
二笑亭
6
ヒロインのピンチになると、何処からともなく現れる謎の覆面忍者・自来也。53人の子女を儲けたという11代将軍・家斉と児雷也豪傑譚をドッキングしてこんな話になるとは……。いつも通りエロ忍法はあるものの、大筋は往年の時代劇のヒーローもの。ヒロインの鞠姫のキャラクターも可愛い。セリフや文体も忍法帖の中では一番軽く読みやすく、クスクス笑える所も多数。作者自己評価はCランクで、たしかにクオリティは他の傑作群より落ちるけど、こういう軽めの作品もやはり面白い。2023/03/10
ピノ
2
山風では非常に珍しいハッピーエンド。初っぱなから大層ぶっ飛んだ展開を見せるほか、登場忍法も頭のおかしい方向に振り切れている。特に『忍法乳しぼり』はいろいろな意味でバカだった。 2017/08/03
浅木原
2
山風作品では珍しい正統派ヒーロー忍者・自来也vs悪巧みをする伊賀くノ一5人+α。正体不明(笑)の自来也が悪の服部一味と戦うストレートな勧善懲悪活劇……とくれば王道に面白くなりそうなんだけどこれがもうひとつ。守られる藤堂家側のキャラにいまいち魅力がなく、そもそも途中でバレバレになる自来也の正体がアレなので、勧善懲悪ものとしては何とも中途半端な印象が残る。『江戸』もそうだけど、命が安くてエロい忍法帖はどうも勧善懲悪ヒーローとは食い合わせが悪いですね。奇想エロ忍法はいつも通りで「乳しぼり」の頭の悪さは笑った。2016/01/07
Berlin1888
2
藤堂藩乗っ取りの陰謀をめぐる、謎のヒーロー・自来也対伊賀忍者の忍法合戦。天下太平のため活躍の場もなく、落魄の侘しさ漂う伊賀忍者たちは悪玉ながら何かにつけオマヌケで、極悪非道集団なのに凄みを欠くという奇妙な事態に。代わって本作を引っ張るのは、NGワード満載でいまではとても出版してもらえるとは思えないバカ殿石五郎と高ビーでわがままで時折乙女モードな新妻毬姫の、敵味方まとめて掻きまわしてしまう政略結婚夫婦の悲喜劇。自来也の正体は途中からあからさまで、でも、最後の告白はすごく切ない。忍法帖B級路線の快作。2014/09/05