内容説明
静かな団地ブームのいま、「既成ニュータウンの課題と将来像に関する調査」に基づき、わが国のニュータウン開発の背景と変遷過程をたどり、主に地方圏のニュータウンおよび住宅団地の特色や課題を抽出。時とともに老朽化し、諸問題を抱える既成ニュータウンの再生・復活はなるか。将来を展望し、今後のあり方について提言。全国の主なニュータウンおよび住宅団地のヒアリング事例集付き。
目次
序章 調査の目的と接近方法
第1章 ニュータウン開発の背景と変遷過程(戦後の住宅需要と住宅政策;ニュータウンの特色;ニュータウンの変遷過程)
第2章 地方圏におけるニュータウンの特色(地方圏のニュータウンの開発時期;地方圏ニュータウンの質的側面;東北地域のニュータウン;地方圏のニュータウンの特色)
第3章 ニュータウンが抱える課題と対応策(地方圏におけるニュータウンの抱える課題;ニュータウンで顕在化する課題への対応;対応策のまとめ)
第4章 将来展望といくつかの提言(既成ニュータウンの将来展望;ニュータウンと地域づくり;いくつかの提言)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
8
ある必要があり、ニュータウンの本ばかり、これから読んでいく予定。行政系のシンクタンクがまとめた報告書をベースにしてゐるのだらう。ニュータウンの課題についての現場ヒアリングをもとに、若干の展望が記される。ニュータウンの高齢化や、自治の担い手の不足、家屋の老朽化など、共通の課題と、市民と行政(NGO)の協業を中心にした解決策の諸々を頭に入れるためには、基礎的な文献。2016/10/09
chang_ume
3
戦後住宅政策の概観を目的に。三本柱の制度枠組み(住宅金融公庫・公営住宅・住宅公団)からなる戦後の公的住宅供給政策の延長上に、さらなる質と環境の整備に向けて「新住宅市街地開発法」(1963年施行・1986年改正)が各地に大規模な「ニュータウン」を建設促進する流れ。三大都市圏と地方圏で、ニュータウンの成立時期と住民意識で微妙な差異が見られること。それはそのまま地方からの人口流出と都市化の戦後史と並行するでしょう。一方で、2000年代以降に顕著な「都心回帰」への政策誘導と現状のニュータウン課題の関連も知りたい。2018/02/08