内容説明
痴呆になると、人生のすべてが終わるわけではない。痴呆の予防と改善に、確実な効果があることが医学的にも明らかになった。家族の心のケアにもポイントをおいた、新しい取り組みが注目されている。痴呆症の予防と治療に、新しい光を投げかける。
目次
第1章 痴呆患者に及ぼす芸術の影響について(芸術造形研究所;美術との出会い ほか)
第2章 臨床美術による痴呆ケア(痴呆性疾患の患者は約150万人;「もの忘れ外来」を開設 ほか)
第3章 痴呆症とファミリーケア(臨床美術におけるファミリーケアについて;ファミリーケア・5つの要素 ほか)
第4章 臨床美術のすすめ方(臨床美術の魅力と可能性;臨床美術・五つの魅力 ほか)
第5章 痴呆の予防としての臨床美術(治る痴呆と治らない痴呆;手軽な早期診断方法 ほか)
著者等紹介
金子健二[カネコケンジ]
彫刻家。株式会社芸術造形研究所代表取締役。東北福祉大学感性福祉研究所研究員。東北福祉大学感性福祉学会評議員。1948年宮城県生まれ。1976年東京芸術大学大学院彫刻専攻修了。新具象彫刻展創立会員、浦和造形研究所設立、1985年デビュー作「風の又三郎群像」で第1回本郷新賞受賞。代表作は「少女と夏水仙」「振り向くマグダラのマリヤ」等。1977年子供造形教室主宰、新宿美術学院専任講師。1996年臨床美術を独自で開発しスタートさせる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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うさこ
6
認知症を改善させるアートセラピーについての本。もし食べてしまっても大丈夫なように安全な画材を使用するようです。臨床美術士の資格に興味があるけどまだまだ世間に浸透していないようですね。2011/05/22
宮尾 尚志
1
「臨床美術」って、なんだか取っつきにくそうな名前ですよね。臨床=医療現場におけるアートが果たす役割について書かれています。といってもアートは鑑賞するものだと思っていたので、作品の制作過程が認知症治療となることには驚きました。言語や計算など論理的な思考を司る左脳に対して、五感や感情を司る右脳。その右脳を刺激することで、認知症患者の心を安定させ、さらに衰えつつある左脳の神経伝達細胞を右脳側から刺激し進行を緩める。既に米・英国では国家資格として地域に根ざしているとの事でより多くの方に知ってもらいたい治療法です。2012/04/17
日々珠
0
平成23年春、4級を取得済。2011/10/15
さくたろ
0
美術はどう人に影響するか。美術の価値は何か。芸術家は人々の為に何が出来るか。そういったことを色んな根拠を元に説明してくれ、ますます表現が楽しく、意味のある物に思えた。また、治療不可能と言われている認知症に、絵を描く等の表現が効くというのも知らなかった。表現は自己を知らせるものであり、それを自分で見つめること、他人に認められること、表現を通じてコミュニケーションを行うことが刺激になり、自分の自信になり、生きることに繋がる。実際に認知症の進行が止まった等のデータには驚きばかり。表現はもっと気軽で身近にあるべき2011/06/17