内容説明
中国人を父に、日本人を母に、二つの祖国を風雪に耐えて生き抜いてきた勁草の詩人―ここにあり。限りなき詩魂とともに、日中文化交流に身を賭した男の一生を描く。
目次
第1章 詩壇の寵児
第2章 蒋介石の下へ
第3章 宮沢賢治を訪ねて
第4章 日中戦争のはざまで
第5章 幻の詩人
第6章 半世紀ぶりの日本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
1
A. 烈しいものがあまり動くため 君は僕の美しさがわからない 君はゴムの匂ひのするあの秋のアトリエに もう一ぺん紙つぶてを投げて大氣を振動させるがよい そして雪が降れば もう一ぺん心をおどらせておのれを顧みるがいゝ そこには君だけの美しさが浮かんでゐる そこには回想がまだ虹のように淡くみえる B.なるほど僕には君を支へる力がないー 君は今日僕の行く市街の花 君は雨あがりの空にふっと消えてゆく星 君は外濠線を風となり パミリオンの雲を消えさせ 夕やみに光る衛兵の銃剣をくぐってきた尖った心!… 2012/11/02