内容説明
あやつり人形のピッパとペッポは、もうずいぶん長いこと、カタリーナの子ども部屋でくらしていました。いつも仲よく壁にぶらさがって、いつかまたカタリーナと遊べる日を夢みていました。けれども、ふたりの夢は、いつまでまっても、かないそうにありません。カタリーナは、人形にあきてしまって、みむきもしなくなっていたのです。ある日、ピッパがいいました。「ペッポ、もうこんな暮らし、うんざりだわ。ここを出ていかない?」「だめだよ。外はこわいことがいっぱいなんだぞ!」ペッポはびっくりしていいました。「いいわ。ひとりでいくから。あたし、こんなつまらないところで終わりたくないのよ。もっといろいろなことをしてみたいの」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小夜風
26
【図書館】この表紙からピッパがどんな顔してるのかあれこれ想像していたのですが、結構強烈(笑)!悪者さんたちはあやつり人形の才能はあるみたいだったから、地道に人形使いとして生きれば良かったのにね。「夢は夢。かなうこともあれば、かなわないこともある」というのが印象に残る絵本でした。2015/08/10
mntmt
20
独特な雰囲気の絵本。2016/02/17
遠い日
16
自らの境遇を捨て去り、世間に飛び出した操り人形のピッパ。表紙の人物たちの不穏な目つきと表情に、なにか善からぬものを感じながら手にしたが、全く以て世知辛い展開。のさばる悪意が大人の世界を覗かせる。しかし、自分がダシにされた意趣返しを精一杯やるピッポに少しばかり胸の空く思いもする。納得の自分の人生(?)を受け入れるピッポのラストの表情がいい。グコーヴァの昏く美しい絵が印象的。2016/04/02
らびぞう
12
ピッパの着ているドレスがステキ。でも、よく見たら、レースがほつれたりしている。だって、見向きもされなくなった人形なんだもん。ちょっとした冒険後、ユリウスに可愛がられることに。ほつれも、ちゃんと直してくれている。なんてったって、悪者の大アップは、迫力と人間性がそこに表れている。2014/07/29
寧々子
11
部屋の壁にぶら下がったままの暮らしに我慢できなくなった、あやつり人形のピッパには行動力がありました♪ だからこそ、望んでいた幸せを手に入れることが出来たのでしょう。 望んだ夢がすべては叶わないってとこがシニカルで、この絵本に似合っていました。 独特な雰囲気を持つ絵が魅力的です♡ ピッパの白いレースのドレスや、文章を囲むリボンやビーズの飾り枠がとても素敵でした♪ ピッパとペッポの物憂げな表情はちょっぴり怖いですが惹きつけられたけど、人間の男女の表情は悪意がそのまま現れているようで怖いです~2016/04/10