内容説明
一九六八(昭和四三)年三月九日、提訴、原告は小松みよら患者九人と遺族一九人。そしてこの提訴から二ヵ月後の五月八日、国はイタイイタイ病を初の公害病と認定した。あの日から五〇年になる。今年、二〇一八(平成三〇)年は日本の近代化が始まってから一五〇年の節目の年になる。富国強兵、殖産興業の国策の下に突き進んだ戦前の日本、そして戦後もまた高度経済成長を時代の旗印とした。その歴史の影にあったイタイイタイ病という公害を通して日本の近代とは何であったのかを考えてみたいというのが本書の出発点である。
目次
第1章 鉱毒―それは近代の始まりだった
第2章 下流に命あり―神通川と小松みよ
第3章 発病―小松みよと家族に起きたこと
第4章 イタイイタイ病―明らかになった人間被害
第5章 放置―イタイイタイ病の荒野
第6章 提訴―原告への道
第7章 判決―初の被害住民勝訴
第8章 まき返し―グロテスクな公害の構造
第9章 公害と近代化一五〇年
著者等紹介
向井嘉之[ムカイヨシユキ]
1943年東京生まれ。同志社大学文学部英文科卒。ジャーナリスト。イタイイタイ病を語り継ぐ会代表。とやまNPO研究会代表。元聖泉大学人間学部教授(メディア論)。日本NPO学会会員。メディア総合研究所研究員。『イタイイタイ病報道史』(共著、桂書房、2011年)平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞。『NPOが動く とやまが動く』(共著、桂書房、2012年)日本NPO学会審査委員会特別賞受賞。『くらら咲く頃に―童謡詩人 多胡羊歯 魂への旅』(単著、梧桐書院、2015年)日本自費出版文化賞入選、日本図書館協会選定図書。『米騒動とジャーナリズム 大正の米騒動から百年』(共著、梧桐書院、2016年)平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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