出版社内容情報
急成長をとげたインドネシア合板産業の軌跡を辿り、発展途上国が木材加工業で自立する道を考察。脱合板化へ向かう世界パネル産業の高付加価値路線も併せて分析。
はじめに
1 急成長をとげたインドネシア合板
2 なにが急成長を可能にさせたのか
第1章 胎動期のインドネシア合板産業
1 インドネシア合板産業の成立
2 急増した森林開発と丸太輸出
3 木材資源ナショナリズムの台頭
4 第1次産品総合プログラムと熱帯木材協定
5 東南アジア木材生産者会議(SEALPA)と価格支持政策
第2章 成立期のインドネシア合板産業
1 「新林業政策」による合板工業化
2 合板工業化を可能にさせた要因
3 経営危機に陥った合板産業
4 成立期の合板輸出動向
第3章 再編期のインドネシア合板産業
1 合板輸出政策の新展開
2 再編期の合板輸出動向
第4章 合板企業グループの動き
1 合板企業グループの概要
2 合板企業グループへの集中化
3 合板企業グループの実態
第5章 マレーシアの木材加工工業化―インドネシアとの比較から―
1 木材加工工業化を阻害した要因
2 マレーシアの木材工業化促進策
第6章 インドネシア合板の日本への影響
1 日本の南洋材丸太輸入―その変遷―
2 南
本書は、私が現在の職場である(財)日本木材総合情報センターの前身である(財)日本木材備蓄機構において、特に東南アジアを中心とする海外調査に従事したことで生まれた。
インドネシア合板産業を15年にわたりみてきたのは、開発途上国における木材加工工業化の進展をこの目で確かめたかったことによる。当初の日本における見方は、「鳴物入りで動いても大したことにならない。1970年代、フィリピンにおいても再三丸太輸出禁止・木材加工工業化が唱えられたが現実のものになっていない。開発途上国の木材加工工業化なんてそんなものだ」といったものだった。ここで開発途上国での木材加工工業化を成立させる要因は何かとの疑問が湧いた。これが本書の大きなテーマの1つであり、華人系資本を中心とした担い手問題、マレーシアの木材加工工業化との比較に多くの紙幅を費やした。
世界の木材業界を取り巻く環境は大きく変わった。1980年代においては予想もできなかったほどの大激変である。特に1990年代に入り「森林の持続可能な経営」が、地球規模での環境問題の中で大きくクローズアップされ、天然林材利用から人工林材利用へ、低付加価値製品生産から高付加価値製品化へと急速に変わっ
途上国の発展問題を考えために、格好のデータと分析が収録されています。