出版社内容情報
フィリピンでの熱帯林再生をライフワークにする著者が、豊富な現地体験を活かして国際協力のあり方を展望した好著。
1 なぜ熱帯林破壊が進むのか 現地で見て、考えたこと
2 私達の取り組み マニラ麻を中心として
3 私達の目指すアグロフォレストリー 課題と方向
4 国際協力に望むこと
おわりに 日本の人びとに考えてもらいたいこと
付記 開発途上国のパルプ事情 非木材繊維の利用
"日本の人々に考えてもらいたいこと
過去30年来で、かんばつの被害が最大になった、とフィリピンのニュースが伝えています。稲作をはじめ、植民地時代から伝承されてきた砂糖きびなどのモノカルチャー(単一栽培)を中心に、被害報告が次々に出されています。
こうした大型かんばつの後には、必ずと言っていいくらい集中豪雨に見舞われ、洪水、土石流によって多くの犠牲者が出ます。また、収入源を失った地方の人々は職を求めて都市部に流れ込みますが、大半の人々は就労できずにスラム地区に流れ、治安を悪化させています。
開発途上国のどこでも見られるこうした現象、悪循環がフィリピンでもとめどなく続いています。
1991年、レイテ島オルモックで起きた土石流災害では、4,000名もの犠牲者が出ました。治山治水行政を重ねてきた日本では、考えられないことです。現地では、この災害の原因を巡って論議が重ねられましたが、フィリピン政府は民間業者の密伐のせいだと言い、地域の人々は治山治水政策の立ち遅れを非難し、互いに責任転嫁に終始しています。これらも原因の1つには違いありませんが、災害が発生する背後には、さらに多くの要因がからみあっているのです。貧困"
著者は、現在もフィリピンで精力的に活動しています。



