内容説明
20世紀前半のロシアはリアリズムから象徴主義を経て、実験的な詩や散文、無対象絵画、前衛的な音楽や映画の試みが爆発的に開花した時代であった。またストラヴィンスキーやナボコフなどロシアから海外にその活動の拠点を移し、実験的な試みによって西欧の文化に深い影響を与えた芸術家を輩出した時代でもあった。本書ではスターリニズムの冬の時代に不当に忘れ去られていた多くの作家・芸術家とその作品、また文学研究者の理論的営為を取り上げ、文学、美術、音楽、文学理論の諸領域にロシアがどのような貢献をなしたかを「透視」する。
目次
1 詩的言語の冒険(アンナ・アフマートワ―初期詩の躍動性;抒情詩への回帰―パステルナークの詩集『第二の誕生』について ほか)
2 二十世紀批評の源流(ディオニュソスと認識―ヴャチェスラフ・イワノフのニーチェ批判;“約束事”の終焉―ロシア・アヴァンギャルドの両義性 ほか)
3 二十世紀ロシア小説の光景(襞、そして律動する言葉―アンドレイ・ベールイ『ペテルブルク』を読む;ザミャーチン『洪水』のペテルブルグ―もうひとつの『罪と罰』の誕生 ほか)
4 ロシア・アヴァンギャルドの越境(二十世紀演劇とチェーホフ;メイエルホリドとチェーホフ―『三三の失神』をめぐって ほか)
著者等紹介
伊東一郎[イトウイチロウ]
1949年生まれ。1977年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。早稲田大学文学部教授。スラヴ比較文化史
宮澤淳一[ミヤザワジュンイチ]
1963年生まれ。青山学院大学国際政治経済学部・早稲田大学第一文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程退学。2007年東京大学より博士(学術)。青山学院大学総合文化政策学部准教授(2008年4月より)。文学研究、音楽学、メディア論。著書に『グレン・グールド論』(春秋社、2004年、吉田秀和賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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工藤 杳
Sapporo Shiojiri