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内容説明
中世ラテンの「アーサー王伝説」最古の典籍。ジェフリー・オヴ・マンモスは六世紀以来のギルダス、ベーダ、ネンニウスなどの年代記作家と各種の聖者伝、さらにアネイリン、タリエシンら古代ケルトの吟遊詩人たちの詩と古い散文物語集『マビノギオン』などに描かれるアーサー像を集成して材源とし、想像力を縦横無尽に駆使して1138年頃に「アーサー王伝説」の泉源“fons et origo”となる記念碑的な傑作を創り上げた。以降「アーサー王ロマンス」の作品群に甚大な文学的影響を及ぼしてきた。また、今に伝存する古写本の数が215を優に越えるほどで、本書が当時いかに広く伝播し、読み継がれてきたかの雄弁な証左であろう。
目次
ブルートゥスのブリタニア建国
ローマ人が来寇するまで
ブリトン人とローマ人
コンスタンティヌス二世と三人の息子たち
メルリヌスの予言
ブリタニアのアルトゥールス王
サクソン人の支配とブリトン人の国外追放
著者等紹介
瀬谷幸男[セヤユキオ]
1942年福島県生まれ。1968年慶應義塾大学大学院修了。1979年~1980年オックスフォード大学留学。武蔵大学、慶應義塾大学各兼任講師、北里大学教授など歴任。現在、中世ラテン文学の研究・翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文吾
9
★★★★★ /図書館本。「アーサー王ロマンスの原拠」だそうです。出だしは恐るべき魔力で眠気を誘ってきますが波に乗れば大丈夫。1138年頃の作品だそうで、ブリトン人の祖先はトロイア戦争の生き残りという話から始まってます。歴代王について延々と。中盤からアーサー父ウーテルとアーサー叔父が登場(P174)。ウーテルといえば略奪愛くらいしか目立つお話は知らなかったので、それ以外の活躍も詳しくかかれてるので面白かった。2019/06/06
スターライト
7
あまたあるアーサー王についての原拠の書とのことで読んでみた。ブリタニア王国の伝説的な初代の王ブルートゥスから始まり、多くの王たちが様々な外敵から侵略され、あるいは外国に侵略しながら興亡を続ける様子を、サクソン人によるブリタニア支配が始まるまでの約1900年間の歴史を振り返る大著。諸王の中でも、やはりアーサー王(アルトゥールス)についての記述が印象的。訳者あとがきにも詳細に触れられているが、のちに多く現れるアーサー王の物語の骨格がここにはおり、アーサー王研究のためには抑えるべき書だろう。2017/10/22
刳森伸一
7
アーサー王の一生を描いた最初の作品だが、アーサー王の記述は全体の3分の1程度。残りはトロイアの末裔がイギリスに植民してからサクソン人に支配されるまでの歴史を描く。途中にアーサー王の記述があることからも分かるように歴史書としては正確ではなく、さらにはアッサリとした記述で盛り上がりに欠けるところが多い。しかし、アーサー王の記述など、要所要所で面白いエピソードが配置されていて、満足できる内容だった。2017/10/09
viola
6
翻訳がないものだと思っていたので、見つけた時は嬉しかった・・・!ラテン語だから原書で読むのはまず不可能ですし。「アーサー王ロマンス原拠の書」とあるように、アーサー王伝説を歴史上の君主として創り上げ、アーサー王関連の詳細な記述が初めてまとまった形で登場する作品です。アーサー王と言っても定番のトマス・マロリーのほうがはるかに読みやすい。知らない人物の登場が多いので難易度はなかなか高いかなと感じますが、アーサー王って英文学やる上で必須になりますし、私もかなり研究に活用させることになりそうです。2011/11/02