ジャンキンの悪妻の書―中世のアンティフェミニズム文学伝統

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  • サイズ B6判/ページ数 124p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784888963749
  • NDC分類 992
  • Cコード C1098

内容説明

古典古代ギリシャ・ローマ文学から中世ヨーロッパ文学に至るまで、特に中世ラテン文学や俗語文学を問わず、女性を誘惑者「イヴ」の末裔と見なし忌避する「女性嫌厭」乃至は「反結婚主義」の立場をとる女性観の系譜がある。例えば、ジャン・ド・マンが『薔薇物語続編』のなかで“理性”、“老婆”、“自然の女神”などに長口舌させる「現実的性愛」や辛辣な女性諷刺の論議、またG・チョーサーが「バースの女房の序」で稀代の艶色家の女房アリスーンに“倒錯的”に「女性嫌厭」や「反結婚主義」の思潮を展開させる話は、かかる系譜の女性観の好個の例といえよう。そして、聖ヒエロニムス「ヨウィニアヌスへの駁論」、“テオフラストゥス”「結婚についての書」、ウォルター・マップ「ウァレリウスが哲学者ルフィヌスに妻帯を戒める書簡」は、このような「女性嫌厭」の文学伝統の権威書として、古来より頻繁に援用された典拠の書である。

目次

第1 ウァレリウスが哲学者ルフィヌスに妻帯を戒める書簡(ウォルター・マップ)
第2 結婚についての書(テオフラストゥス)
第3 ヨウィニアヌスへの駁論抄(聖ヒエロニムス)

著者等紹介

瀬谷幸男[セヤユキオ]
1942年生まれ。1968年慶応義塾大学大学院修士課程修了。1979年~1980年オックスフォード大学留学。北里大学一般教育部教授、慶応義塾大学文学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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じろ

1
十二世紀ルネサンス、古代ギリシャ、初期キリスト教の「反結婚主義」「女性嫌悪」の代表作三編。テオフラストゥスは財産と結婚について、財産を欲しがる妻より召使の方が病気の時ちゃんと看てくれる、とかいった話を。あとヒエロニムスが、純潔の為に自殺した女性をたくさん挙げて讃美するところには「うわーっ」となったり。タイトルはチョーサーのカンタベリー物語の『バースの女房の序』の、アリスーンの夫のジャンキンが読み耽って笑い転げている「悪妻の書」から。2014/02/07

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