内容説明
これは精神療法によって、自己を捜し求める一人の子供の物語である。物語はディブスという名前の、実在の子供の体験をもとにして創られた。ディブスは希望の太陽と悲しみの雨にわが身をさらしつつ、成長し、天賦の才能をのばしていかねばならない、複雑な人生の過程をつぶさに体験していく。そしてしだいに、ためらいがちに、彼の世界を保障するものは彼の外部にはなく、彼がかくも熱心に捜し求めてきた安定の主軸は、じつは自己の奥底にあることを発見する。遊戯室で、家庭で、学校での体験を通じて、彼の人格は少しずつ、しかもやさしく、他の人びとの人生をも花開かせ、向上させていく。彼を知る特権を得た人びとの人生を。
著者等紹介
アクスライン,バージニア・M.[アクスライン,バージニアM.][Axline,Virginia M.]
心理学者。情緒障害児のための“遊戯療法”を創始したことで、広く世界に知られている。著書『開かれた小さな扉』は、数多い、“遊戯療法”の実践記録の中から生まれた、珠玉の一篇として、全米に深い感動を呼びおこした
岡本浜江[オカモトハマエ]
東京生まれ。東京女子大学文学部英米文学科卒業。共同通信社記者を経て、現在は英米文学の翻訳に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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riviere(りびえーる)
3
遊戯療法の実践記録なので、ある意味専門書ですが、一般書として読んでも感動します。周囲とうまくかかわれない男の子デブスと著者の愛の記録。著者アクスラインはその世界では高名な遊戯療法の創始者です。翻訳を児童文学を翻訳している岡本浜江さんが担当しているのも読みやすい一因かもしれません。2011/10/30
かのん
2
遊戯療法の記録としてだけでなく、読み物としても楽しめる一冊。変化していくディブスやその周りの様子に思わず頬が緩んでしまう。自分もこんな心理臨床の専門家になりたいもんだ、と思った。2012/12/03
Kei
2
この世界には,権威と権力をひけらかすことより,報復と罰と苦痛を与えることより,遙かに大切なことがたくさんあります。 3072012/10/05
JS
1
セラピーに特別な興味が無くても、自閉症の子どもを持っていなくても(結局ディプスが自閉症だったのかは明らかでないようですが)、十分に興味深く楽しめる本。子どもの心の奥に果てしない世界が広がっていることが良く分かる。良い本だが、気持ち悪い表紙のイラストが玉に瑕。2015/11/01
R子
0
2011年度後期の授業の課題図書をおくらばせながら読了。なんか、セラピストの発言も、想いとか母とのやり取りとかも書かれていてすごく勉強になった。クラインは非指示的かあー遊戯療法は難しい…自分はどの技法でいくのか・・・