内容説明
「美術・デザイン」の視点から絵本を複合的にとらえ、絵本のひろがりと豊かな可能性を追及。絵本表現の仕組みや新たな展開をも解き明かし、これからの絵本の進む方向性を指し示す。絵本を新しい角度から見ることで、絵本をみる眼が大きく拡がる。
目次
絵本の可能性―新しい絵本表現の成立と発展(新たな視覚表現の成立;絵本表現の可能性)
絵本の方法―絵本表現の仕組み(絵と言葉のコラボレーション;画面展開による語り)
絵本の力―絵本表現の新たな展開(絵本が表現しえるもの;見る人が発展させえる表現)
著者等紹介
中川素子[ナカガワモトコ]
1942年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修了。文教大学教授(造型美術論)。絵本学会理事。形の文化会幹事
今井良朗[イマイヨシロウ]
1946年大阪府生まれ。武蔵野美術大学卒業。武蔵野美術大学芸術文化学科教授(視覚表現論)。絵本学会理事・事務局長、日本記号学会会員
笹本純[ササモトジュン]
1950年東京都生まれ。東京教育大学大学院教育学研究科美術学専攻修了。筑波大学助教授(視覚デザイン、絵本・マンガ論)、デザイナー、造形作家。日本デザイン学会評議員、日本マンガ学会理事、絵本学会運営委員。グラフィックデザイン、浮世絵、マンガ、絵本に関する論文多数
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感想・レビュー
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がらくたどん
20
大昔学生時代就学前後の子どもたちが「絵と言葉」で描かれた世界から「視覚情報としても言語情報としても描かれていないもの」をどのくらい読み取るかと言うことにとても興味があった。そのころ本書があったら嬉々として参考文献にしただろうと思えるとても良くできた絵本論の教科書。絵本と言う表現形態が成立し成熟していった歴史・視覚と言語の融合である表現方法の分析・絵本の持つコンセプトと読み手が受け取るものの相関を論じた読解論。中川氏の作り手と読み手の思考の交叉が絵本に新たな命を加える事に絵本の力を見出す考察に感銘を受けた。2021/09/09