内容説明
明治期に形成された日本人の思考の枠組み、それはセクシュアリティ観、都市下層社会観、家庭観の三つの観念と、その相互連関性を浮き上がらせることで見えてくる。そして、その枠組みは、形を変えて今も日本人の意識下にあるがゆえに、極めて今日的な問題を提起することになるのである。
目次
第1章 明治期セクシュアリティのパノラマ(鴎外の『ウィタ・セクスアリス』に見るセクシュアリティ;遊女から醜業婦へ)
第2章 「貧民」の発見の仕方(動物に近いと蔑まれる人間;臭いの政治学)
第3章 家庭という価値(ホーム・スウィート・ホーム;価値としての「家庭」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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9/22一章1.鴎外が描いた社会階層的なセクシュアリティの配置図というファンタジー、2.身分から職業化する売春と、醜業観の成立、良民との断絶。9/23二章1.下層社会文学-貧民の発見。江戸までは“自然”な位置としてあった(動物視)。遊女を指した畜生に含まれるセクシュアリティを下層民も重ねられた。2.施しから政策に。コレラの流行、貧民窟=病巣の徴としての臭い。9/24三章1.“家庭゙意識の誕生と貧民観成立の同時性。無垢なるもの=子供の養育の場としての家庭。2.家庭と性別役割分業(江戸期との違い)。性の排除。2016/09/24
小倉公ジャスティス
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単純にセクシュアリティを論じるだけではなく、明治時代の人が持っていた差別、性感覚など当時の人の記述や本から読み解いていくが、これを通して結構ショックだったのは、当時の学生が「アイヌ民族は本当の人間では無い、人と犬との混血児(あいのこ)だ、人間の子孫では無いから犬ほど熊ほど毛がはえているのだ」と言ってたり、人間視されていなかったという一面もあることですね。2014/03/12
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