出版社内容情報
《内容》 大腸癌による死亡率は年々増加の一途を辿っている。50年前に比べて8倍の増加という驚くべき値である。今や消化器専門医にとって大腸癌は胃癌と並んで診療のターゲットとなる重要な臓器となってきた。この傾向に呼応して、当然のことながら多くの成書が出版されるようになった。30年前には大腸に関する成書など1冊もなかったのに、大変様変わりである。各成書とも写真あり図表ありで、それぞれに工夫に満ちた力作揃いである。しかし、いずれも教科書的によくまとめられていて、知識の修得、整理には役立つものの、日常診療で問題になる疑問に対しては、必ずしも明確な答えを与えてくれてはいないのが実状である。換言すれば、これは教科書的な成書の有する根本的な制約であり限界であると考えられる。
そこで、この限界を突破するような成書を作ろうという、新しいアイディアのもとに企画されたのが本書である。本書では、執筆者が日常経験した興味深い症例を持ち寄って討論し、厳しく批評し合った内容を、ほとんどそのまま原稿にしたものである。学会と異なり、十分な時間があったので大変意義深い討論ができたと思う。プロ同士のディスカッションだけあって実際の討論はなかなか迫力があり、本書にはそれがかなりよく再現されている。読んでいるとついその討論の中に引き込まれてしまいそうになる。読者がそう感じてくれれば、本書の企画は成功したと言ってもよいであろう。紙面の制約もあるために十分に多くの症例を選ぶことは困難であったが、少なくとも提示された症例については活き活きとした生の討論を紙上に再現できたのではないかと思っている。本書から消化管診断の基本から最先端までのエッセンスを、読者に汲み取っていただければ幸いである。
《目次》
第1章 病歴と臨床検査成績の解析
第2章 炎症性腸疾患 画像診断のポイント
第3章 大腸癌 深達度診断のポイント
内容説明
本書では、執筆者が日常経験した興味深い症例を持ち寄って討論し、厳しく批評し合った内容を、ほとんどそのまま原稿にしている。
目次
第1章 病歴と臨床検査成績の解析(問診と肛門部視診がCrohn病確定診断につながった例;病歴聴取が重要であったCowden病;下部直腸はX線・内視鏡の盲点 ほか)
第2章 炎症性腸疾患画像診断のポイント(skip lesionをきたした潰瘍性大腸炎;Crohn病の回腸病変に逆行性回腸造影が有効であった例;横行結腸に限局した腸結核 ほか)
第3章 大腸癌深達度診断のポイント(PGかNPGか;この2a病変の深達度をどう考えるか;この2c病変の深達度をどう考えるか ほか)
著者等紹介
武藤徹一郎[ムトウテツイチロウ]
癌研究会附属病院院長
多田正大[タダマサヒロ]
多田消化器クリニック院長
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