内容説明
澄明で心打つ山のエッセイ。
目次
石を拾う
峠みち
こぎつね
日蔭みち
水晶
峠の名前
稜線で会いましょう
道連れ
賽銭
山のかけら
猫背山
時計
霧
杖供養
新涼
木精―こだま
著者等紹介
萩生田浩[ハギウダコウ]
1957年東京都町田市生まれ。地図編集者。山の文芸誌『ベルク』同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
6
16編の紀行文は、串田孫一のように地名を伏せた文章だから、山行記録というよりもエッセイの要素が強いかな。唯一でてきた地名、鳥居坂峠がどこかわからなかったのは悔しい。2005年発行でも、往時を回顧する山歩きはどれほど昔の話なのだろう、地図に名前がないからと勝手に山名をつけて山名板を取り付けに向かうとか、拾った時計を持ち帰ってしまうとか、未遂でも山からカエデの苗木を盗ってこようとする話は感心できない。一方で、峠の歴史を思わせる「峠の名前」や、拾った枝への愛着に共感する「杖供養」はよかった。 (★★★☆☆)2021/06/06
ターさん
1
山登りのエッセイである。具体的に何処の山に登っているだろうか。読んでいると、同じような経験をするものだなあと思う『こぎつね』を読んでいて思い出した。宮島の弥山に登った時のことを。一人で登る私を、少年が追い抜いていく。しばらくすると私が追い抜く。そして、また追い抜かれる。少年と自然と会話をするようになリ、下山するまでお互い名前で呼び合う仲となる。「君の名前は宝石だね」と言うと、少年は照れるような表情を浮かべていた。少年は成長し、私のことは忘れているだろう。でも、私は時々思い出す。宝石の名を持つ少年のことを。2022/03/04