内容説明
昭和16年の「こけら落とし」から四年余り。あらゆる苦難をはねかえして雄々しく寄席の灯を守りとおした「大塚鈴本」は東京西部大空襲の炎に没した。席亭伊藤光雄はどんな想いで燃えおちていく「分身」を見たであろうか。資料のほとんどが焼失し、建物の写真から残されていない「大塚鈴本」の凝縮された四年余の歴史を、著者は遺族や関係者をじっくりと訪ね歩き、当時の芸人たちの暮らしぶり、大塚という街のありよう、そして伊藤席亭の心意気をモザイクのようにして現出させる。
目次
「大塚鈴本」の誕生から炎上まで
「大塚鈴本劇場」の再開から終焉まで
大塚鈴本・伊藤光雄の席亭への道