内容説明
スポーツの倫理を考察するためには、スポーツをスポーツたらしめているスポーツの論理への問いを避けては通れない。スポーツ外在的道徳規範を天下り的にスポーツに適用・応用する試みではなく、スポーツの倫理をめぐる個別具体的な問いをこうした原理的な問いにまで遡って考察する。
目次
イントロダクション 「スポーツ哲学/倫理学」へのいざない
スポーツマンシップについて(弱点を攻めるのは悪いことなのか?;卓越性、強さ、勝利;ルールと;エトス)
スポーツと暴力―ボクシングをめぐって
スポーツの本質―アンチ競争理論の検討
スポーツの周辺―娯楽、運、オルタナティブ・オブ・スポーツ
スポーツの「内」と「外」
著者等紹介
川谷茂樹[カワタニシゲキ]
1968年福岡県に生まれる。1991年京都大学文学部卒業。2004年九州大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。文学博士。(専攻/哲学・哲学史)現職、北海学園大学講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akio Kudo
2
★ 残念ながら期待を裏切られた。漫画を引用する時点で怪しいが、ドーピングについての論じ方が出来ていない。2024/08/12
さとちゃん
1
内田良さんや中澤篤史さんの本を読んでいた頃、これも、と流し読みして本棚に加えたままにしていたものを、最近の日大騒ぎがきっかけで読み直してみました。帯にある「ルールを破っても勝てばOK?」は、読んでのお楽しみ。スポーツから遠い私にも得る物があったので、賛同できるかどうかは置いておいても、自分でスポーツをする人、スポーツを指導する人には、もっと読む価値ありの一冊だと思います。2018/05/30
acorneredheart
1
スポ根漫画好きに有名な本。本書は前半主にスポーツを競技として直視するために、スポーツマンシップから勝利に対する純粋なエトスと人間の道徳的観念の分離を図った。それでより一層スポーツを楽しむ為にも視界がクリアとなったと言える。アスリートにスポーツマンと個人の葛藤がある観点が興味深かった。2017/08/03
すがの
1
「勝利への追及」こそがスポーツマンシップだとする筆者による、スポーツ倫理学の一冊。講義調になっているので読みやすい。筆者のスポーツ観はかなりニヒルなようにも見えるが、しかし、一般的で無意識的なスポーツ観を相対化し、新たな視点を導入するという点においてはもってこいの一冊。2017/01/08
出でし月かも/井出
0
スポーツについて考えた。相撲や柔道は他のスポーツとは違う感じだなとかずるい勝ち方で何が悪いとか、疑問に思っていたことがたくさん扱われていて面白かった。私達はスポーツに対する姿勢を知らないまま、競技に参加したり観戦しているのだと気付いた。スポーツについてぼんやりとしか意識していない人は学校で運動部などを始める前に読んで考えてみた方が良い。スポーツ競技に必要なのはまず勝利を何よりも優先させる態度だということを。2018/01/08