内容説明
この写真を撮影した1980年代の団地は、刑務所のようだとか、一戸建てに入るまでの仮りの住まいとしか見られていなくて、良いイメージで団地が話題にのぼることはなかった。それからもう20年が過ぎて、また古いライカを持って近所のフナバシを散歩するようになった。そこでうれしい発見があった。前は悪口ばかり言われていた団地が、気がついたら、樹木が成長し、緑がいっぱいの私の一番いい散歩コースになっていた。団地の外の風景は、どこもさまざまに激しく変化しつづけた。にもかかわらず団地の敷地内は、変化することなくそこで生まれて育った子供たちの故郷でありつづけていたのだ。
著者等紹介
北井一夫[キタイカズオ]
1944年中国鞍山市に生まれる。1965年日本大学芸術学部中退。写真集『抵抗』未来社。1972年日本写真協会新人賞を「三里塚」で受賞。1974年‐77年第1回木村伊兵衛賞を「村へ」で受賞。2006年写真展「村へ」東京国立近代美術館(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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