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ディスカヴァー携書
ジョン・キムのハーバード講義 ウィキリークスからフェイスブック革命まで逆パノプティコン社会の到来

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  • サイズ 新書判/ページ数 239p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784887598980
  • NDC分類 007.3
  • Cコード C0236

内容説明

「パノプティコン」という言葉をご存じだろうか?日本語では「全展望監視システム」と訳されている。18世紀、ベンサムによって考案された監獄の設計案だ。ウィキリークスやフェイスブック革命による一連の騒動を見て、このパノプティコンを思い出す。ただ、構図は逆だ。看守塔にいるのは政府ではなく市民なのである。あのジョージ・オーウェルが小説『1984』において危惧していたのは、「ビッグブラザー」としての政府によって、市民の一挙手一投足が監視される未来社会だったが、ウィキリークスやフェイスブックの登場は、政府活動の陰の部分を含めたあらゆる情報を明らかにし、勇気ある市民が声を結集し、命をかけた政治行動を起こすための強力な武器を市民に与えた。看守塔にいるのは市民であり、監視されるのは政府であるという「逆パノプティコン社会」の到来だ。本書では、ウィキリークスやフェイスブック革命の分析を通じて、この「逆パノプティコン社会」の到来について論じることにする。

目次

第1章 ウィキリークス誕生
第2章 ウィキリークスと外交
第3章 サイバー戦争の勃発
第4章 ウィキリークスとジャーナリズム
第5章 ウィキリークスと企業
第6章 ウィキリークスの未来
第7章 フェイスブック革命
結びに変えて―逆パノプティコン社会の到来

著者等紹介

キム,ジョン[キム,ジョン]
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任准教授。韓国生まれ。日本に国費留学。米インディアナ大学博士課程単位取得退学。中央大学博士号取得(総合政策博士)。2004年より、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構助教授、2009年より現職。英オックスフォード大学客員上席研究員、ドイツ連邦防衛大学研究員(ポスドク)、ハーバード大学法科大学院visiting scholar等を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおかみ

15
ウィキリークス、そしてチュニジア、エジプトのソーシャルメディア革命について分析した本。とりわけウィキリークスに関する記述は詳細で、過度に礼讃も批判もしない客観的な筆致は研究者ならではであると感じる。既存メディアの役割も的確に論じているところも類書とは一線を画す。監視される対象が市民ではなく政府へと変わった現代社会を「逆パノプティコン」と表現する発想は見事だが、それほど記述が多くないのが残念。2011/06/07

Mitz

4
ウィキリークスやフェイスブックが情報の透明化を究極まで進め、情報の占有・統制によって権威を構築してきた政府や大企業など既存の権威が崩壊し、新しい権威体制が再構築されていく…。既存メディアとの関わり、法や体制との関わり、権利と利害の問題など、多くの論点が提示されており非常に興味深い内容。大学時代の卒業論文で“パノプティコン”を論旨の核にしたことがあるだけに、“逆パノプティコン”という考え方は斬新だった。2011/05/01

竹花 樒 - Shikimi Takehana

3
「インターネットは公共空間ではない」という指摘が鋭い。現実世界では金融業が他のビジネスの血流である決済システムを握るように、ネットは寡占企業が胴元を管理する私的空間だと説くキム。その一方で政府の監視から逃れソーシャルメディア上で展開した市民運動が革命を成功させる事例を取り上げて透明化・共有化・組織化というソーシャルメディアのもつ本質を抽出する。それこそがウィキリークスの標榜する「完全透明化社会」を担う構造であり、市民が監視権力を掌握して政府を監視する「逆パノプティコン」な社会システムの到来を指摘していた。2011/08/22

とやまっこ

2
逆パノプティコンとは言いえて妙。事実の羅列に留まらず,深い分析がなされていて勉強になりました。例えば,WLとマスメディアの連携に関する分析などは非常に鮮やか。また中東の革命に関しても,①政権崩壊で重要な役割を果たしたフェイスブックが今後の民主主義の実現でも重要な役割を果たすと過剰に期待することを戒めていたり,②新しいメディアが複雑に混合し,進化するメディア空間にこそ注目すべき(個々のメディアでなく),などの冷静な指摘は納得です。2011/04/24

orval

1
パノプティコンとは、円形に独房が配置され、その中央で看守塔から全方位を見守るという監獄における効率的な監視システムのこと。このシステムでは、看守塔の中に、実は誰もいない状態でも、この構図そのものが、囚人たちの行動を規制するという力が働く。 本書が唱えるのは、その逆、つまり、現代の情報社会においては、看守塔側にいるのは市民、独房で行動を監視されているのが企業や国家となる。フェイスブックなどのソーシャルメディアツールによって、彼らの行動がさらされ、新しい権威体制が築かれていく、そんな時代の到来を解説している。2011/06/11

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