内容説明
人はなぜ「現実の出来事」を表象するために物語という形式を用いるのか―画期的論文「歴史における物語性の価値」に、ミンク、ウォルドマンによる批判と著者の応答を付す。
目次
歴史における物語性の価値
批判と応答(万人のための年表;「変哲のない七一一年」―ヘイドン・ホワイトに答える;現実の出来事の物語化)
著者等紹介
ホワイト,ヘイドン[ホワイト,ヘイドン][White,Hayden]
カリフォルニア大学サンタクルーズ校「意識の歴史」講座名誉教授
海老根宏[エビネヒロシ]
1936年生まれ。東洋大学文学部教授、東京大学名誉教授。イギリス文学
原田大介[ハラダダイスケ]
1960年生まれ。東京工業大学外国語センター助教授。イギリス文学
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
本書はW・T・J・ミッチェル編『物語について』にある著者の巻頭論文と2つの反論、そして著者の応答からなる。真理を後ろ盾にした実証主義的歴史に対し、歴史のnarrative(語り、物語性)に注目する著者は、神の区切りである年号に人間の出来事を記す年表、自分の現在で中断する回想的な年代記、一見客観的に見えるが市民社会的な道徳的時空観念を前提とした歴史の3種に分け、歴史の事実は語りの様式の変化に依存するという相対主義的懐疑論を主張した。歴史を修辞次元に集約する本書は、カルロ・ギンズブルグらとの議論を巻き起こす。2020/04/02
depthofthesky
1
#dokusyo 休日の長崎で読了。ヘイドン・ホワイトの主張を要約すると以下のとおり。 1 世界は「よくできた話」として与えられているわけではない 2 われわれが、そのような話を作るのだ 3 われわれはそれらの話に根拠を与えるために、それらは世界自らが語る話だと想像する 4 われわれがそうする動機は認識論的欲求ではなく、道徳的権威を確立したいという欲求である。歴史的物語はそれを出来事(とそれが意味するはずのもの)に内在するものとして表現するが、実はそれは「確かな」ものではなく、われわれの物語行為から生じ2010/05/06
あだこ
1
まぁ過去とか歴史というのはフィクションみたいなものだし、物語になるっちゃなる。だから年表も年代記もそうなんだ!ってのもわかるっちゃわかる。でもまだ腹八分目には満たない。それは本当に普遍性をもった「物語」なの?2009/09/29
ステビア
0
流し読み。2013/06/16
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- 和書
- 戦略史としてのアジア冷戦