目次
表札
雪崩のとき
挨拶
弔詞
崖
赤い紙の思い出
いじわるの詩
その夜
貧乏
家
夫婦
私の日記
落語
すべては欲しいものばかり
シコタマ節
くらし
私の前にある鍋とお釜と燃える火と
洗たく物
儀式
脊椎の水
レモンとねずみ
用意
空をかついでかなしみ
シジミ
花
村
太陽の光を提灯にして
幻の花
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
annzuhime
37
図書館本。高校生の頃に読んでいた石垣りん。あの頃読んでいたのは「空をかついで」が表題作でした。戦前から戦後までの過酷な生活。依存する家族と女として与えられる責務。息苦しいまでに言葉で語られる生き様。それでいい。石垣りんが日本にはいたのだと、夏になるとみんなに知ってほしい。2022/07/23
じょんじょん
36
中高生の頃は自分の乱読ピーク。詩にも深く興味を持つきっかけになった一篇の詩。それが石垣りんさんの「表札」です。「りん」というお名前の通り、凛とした人間性の強さを感じた作品でした。 「様」も「殿」もついてはいけない。 「石垣りん それでよい」 精神の在り場所も ハタから表札をかけられてはならない なんと力強い言葉なのだろう。生活の、人生の中から紡ぎ出された言葉。当時の頭でっかちな青二才の自分を打ちのめしました。そして、今回石垣りん詩集「表札」を改めて手にとって、何十年経っても色褪せない言葉に感動しました。2022/09/01
スリカータ
16
国語の教科書で読んだ石垣りんさん。手のひらに収まるほどのコンパクトな詩集。平易な言葉だが、生活の厳しさや、若い身で家族を養う重積への不満などがストレートに刺さる。きんかくしのアンモニア臭が目に染みる様な鮮烈さで、強い言葉だ。今の世なら生活保護や障害年金を受けられるだろうに、福祉の手が行き届かぬ時代に生まれた厳しさを想う。晩年は勤め先の銀行が建てたマンションに一人暮らしをされたとのこと。だが、貧困の苦しみから解放された石垣さんの詩作は途絶えてしまう。皮肉にも、創作の源は生命の渇望だった。2024/07/27
退院した雨巫女。
15
《私-図書館》「表札」は、前から、好きでした。亡くなっていたんですね。2021/09/03
よみとも
12
図書館で見かけて、名前だけは覚えがあったので手に取りました。とても平易な言葉で分かりやすい表現なのに、辛辣と言えるほどに正直で、まるで私が抱えていた思いを言葉にしてくれたような感覚もしばしば。半身不随の父と4人目の母、祖父、弟2人の5人を養った経験を持つ作者の作品は、中年世代以降の読者に響きそうです。戦争の詩は哀切。谷川俊太郎さんと茨木のり子さんからの弔辞、田中和雄さんの後書きもよかった。コンパクトで手にしっくり馴染む本書は、童話屋という出版社から出ています。良い仕事をされる出版社ですね。 2024/06/01
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