目次
妻
月夜
朝
巣
稚な子のように
冬夜独居
紙風船
冬
初雪
帰途〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
74
日常の言葉で自分の胸の内を素直に表現した詩の数々。理解するのが難しい現代詩とは全く逆の世界だと思う。文学的な表現よりも人を包み込んでくれる優しさを大切にした詩を読むとほっとした気持ちになる。編者によると木下さんは実直な勤め人として慎ましい一生を送ったらしい。木下さんの詩は普通に生きて、普通に死んでいった多くの日本人の静かな声を代弁している気がした。たとえ名は残っていなくても、そんな人たちがこの社会を支えているのだろう。2013/12/25
新田新一
26
日本の詩人の中で、大木実は一番優しい詩を書いた人ではないかと思います。どの詩も深い優しさが感じられて、読んでいると心が温かくなります。一番最初に載っている「妻」はしみじみとした情感が感じられる忘れがたい詩です。長年連れ添った妻のうしろ姿を見て、詩人は優しい感慨に浸ります。老いた後ろ姿に若いときのうしろ姿を重ねて、「きみが好きだよ」と言いたくなるのです。実際には口に出さないのですが、その気持ちは伝わったかもしれません。人を本当に愛する喜びが表現された絶唱です。2024/07/21
てまり
4
なんという慈しみと優しさにあふれた言葉。日々のつつましい暮らしをそのままにすくいあげたような言葉たち。何より、ともに歩んだ妻をいつまでもいとおしく思う言葉が温かい。生きて、死んでいくまでの人生。前へ。その言葉は私をも励ます。2008/12/01
おおくま
3
大木実さんの「妻」の詩がどうしても忘れられず購入。 戦争から復員した詩人の心がいつもささやかな幸せに満ちている。日常の妻や子を思い、涙を流している詩人。当たり前が当たり前でないことを物語る。この気持ちを、寄り添う人に感じてもらえるだろうか。この言葉を大切にして、心に置いておきます。「月夜」いいですね。2015/06/29
ボク、ながいたん!
1
大木実という人は知らなかったけど、吉野弘の詩集の隣にあったのでまとめ買い。「ALWAYS 三丁目の夕日」的な、貧乏で妻には苦労をかけるね、みたいな詩が中心なのでお祝いに贈るのは向いてないな。詩と言っても作りこみ系ではなく、思うまま書く散文に近い形で、個人的には物足りない。2014/01/05