内容説明
この絵本を、自分の力で「考える」ことをはじめた日本の子どもと、子どもの心をもった大人たちに贈ります。わたしたちはどこから来て、どこへ行くのだろう。生きるとはどういうことだろう。死とは何だろう。人は生きているかぎりこうした問いを問いつづけます。この絵本が自分の人生を「考える」きっかけになることを祈ります。本書は、アメリカの著名な哲学者レオ・バスカーリア博士が「いのち」について子どもたちに書いた生涯でただ一冊の絵本です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
368
国語の教科書にあったが、命の重さについて知る事が出来た。輪廻転生を思わせる感じ。2016/12/03
やすらぎ
224
春が来て、大きな木の梢で私は生まれた。五つに分かれた葉を力強く開いて、隣にも、その隣にも似たような葉があった。風が吹けば一斉には騒ぎ、雨が降れば満たされるのに、みんな少しずつ形が違って不思議だった。同じ木から生まれたのに。短い夏が終ってしまって、葉が染まる頃。みんな全然違う色になって、ばらばらになっていく。ひとり、またひとりと離れていった。楽しかった梢になんとか残りたいのに、しがみつくものは誰もいなかった。一本の木、ここには数多の葉が重なり合っていた。フレディは希望を夢見て永遠に目を閉じた。また春は来る。2023/08/23
zero1
173
あなたが存在する意味は何?死は誰もが避けることのできないこと。死ぬとはどういうことか。葉っぱを擬人法で表現した秀作!春に生まれたフレディ。みんな同じなようでいて、実は少しずつ違う。彼は役目を果たし、冬には死ぬ。だが、木を育てる力になる。哲学者の作ということで単純だが深い。「雪のひとひら」(ギャリコ)と並ぶ名作なのに読メでのレビューが268件というのは冗談か?死ぬのが怖いと思う人は多い。そんな人に読んでほしい一冊。「変化しないものは ひとつもないんだよ」「死ぬというのも 変わることの一つなのだよ」2019/05/02
匠
170
中学生の頃の入院中に読んだ時、植物は同じ樹でまた再生できるからいいよなと羨ましく思ったのが正直な気持ちだった。でもそれを当時の主治医に言ったら「フレディと名づけられたその葉っぱは世界に1枚だけで、生き返ることはないんだよ」と言われ、少しだけ議論になったことが思い出だったりする。再読してみて、作者の意図は昔よりもずっと深く理解できるようになったけど、先に逝ってしまったダニエルに重ねる想いのほうが濃くなっていて少し辛かった。でも、僕も樹を育てる力になっていけたらいいなと切に思う。2014/05/04
Aya Murakami
169
病院(皮膚科)の待合室本。 死にゆく者たちが未来の者に残すものは物質的なものだけではないことも暗示している感じの絵本でした。読メでおなじみの書籍なんかも未来に残せるものでしょうね。なんだか中学校の教科書に載っていたさんちきが読みたくなりました。2019/04/27