内容説明
本書では、木口木版やリトグラフ(石版)が19世紀末の圧政に民衆をいかに目覚めさせ、対抗する力を与え、ニュー・ウーマンの出現を促したかという問題から始め、ポストモダンのグラフィックスはどのようであったか、そして従来の印刷とまったく異なるデジタル・テクノロジーによる複製が、来るべき21世紀に何を示唆しているかなど、美術よりはコミュニケーションの側面から考察した。視覚デザインの物的と意味論的な環境に関わりから見えてくる、近代人の精神的変遷を明らかにする視覚デザインの歴史について述べている。
目次
第1章 近代グラフィックの始まり―19世紀のカリカチュア
第2章 ポスターによる広告の時代―初期のマス・コミュニケーシヨン、1890‐1914
第3章 第一次世界大戦中のグラフィック宣伝―1914‐1920
第4章 アヴァンギャルドとモダニズムの誕生―ユートピア的理想主義と商業主義、1918‐1939
第5章 第二次世界大戦時のグラフィックス―機能主義、1939‐1945
第6章 第二次世界大戦のモダニズムとアドマス社会のデザイン―1946‐1969
第7章 ポップと抵抗のグラフィックス―1960‐1970
第8章 20世紀末の視覚デザイン―1970年以降の広告とポストモダン及び電子テクノロジー