内容説明
オーストラリアからアメリカに居を移して27年。シドニーの取材のために作家は帰国した。都市を四大元素“地・水・火・風”の観点から捉えなおす試みのためだ。しかも取材対象に選んだ知人たちは一筋縄ではいかない面々だった。乾いた大地、入植、ヨットレース、オペラハウスのデザインコンペ、不正と犯罪、「永遠」の芸術家、山火事、ドゥ・セルビ主義の建築、といった話から、重層的なシドニーの姿が浮かびあがる。
著者等紹介
ケアリー,ピーター[ケアリー,ピーター][Carey,Peter]
1943年オーストラリア生まれ。広告代理店勤務を経て1974年に短編集を発表。『ケリー・ギャングの真実の歴史』(早川書房)で『オスカーとルシンダ』(DHC)に続く2度目のブッカー賞を手にする。1974年から約15年間シドニーに居住する。1989年からニューヨーク在住
宮木陽子[ミヤギヨウコ]
お茶の水女子大学大学院英文科修士課程修了
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感想・レビュー
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ロピケ
1
明るくて元気、悩みなんてなさそうなイメージのオーストラリア。けれども、誰でも悩みはあるように、この国にだって陰の部分だってある。特にイギリスからの囚人達が入植した原点のシドニーに。アメリカから久しぶりに帰国し、シドニーについて「地・水・火・風」の四大元素の視点で論じた本を執筆するため、昔からの友人達を訪ね歩く。その友人達がワイルドでユニークな人揃い。それにしても、アンソニー・トロロープがシドニーを訪れていたとは初めて知った。命がけがキーワードになりそうな内容。山火事の時の対処法、覚えておこうっと。2012/03/26