内容説明
コレット、ボードレールなどパリで活躍した有名人の生活を見物し、今日のパリを形成するアフリカ系アメリカ人、ユダヤ人、ムスリムの街に足を踏み入れる。ローザン館とギュスターヴ・モロー美術館でひと休みしたあと、米仏のゲイ作家を訪問し、王制主義者と君主制支持者の区別に頭を悩ませる。長年のパリ暮らしで身につけた、優れた遊歩術を披露する。
著者等紹介
ホワイト,エドマンド[ホワイト,エドマンド][White,Edmund]
1940年オハイオ州生まれ。ミシガン大学卒業。編集職を経て、小説を発表。同性愛者の作家集団を形成するなど、アメリカでは著名なゲイ作家。1983年から1990年までフランスに滞在。1993年フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受ける。全米図書批評家賞など受賞多数
柿沼瑛子[カキヌマエイコ]
早稲田大学第一文学部卒業、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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nobi
86
Writer & City2冊目。1冊目「プラハ(J.バンヴィル)」が暗い色調の油絵とすれば「パリ」は色んな時代人種界隈のショットで作ったコラージュ。その手法を通してこそパリの全体像が浮かび上がってくる。アラブ系アフリカ系ユダヤ系南米・北米系…ゲイ…の人々を惹きつけ取り込みパリ仕立てにしてしまう。J.ベイカーはレジスタンスの一員として活動し、ユダヤ一族のカモンド家は有数の美術コレクタとなる…。冷ややかさ、寛容と見紛う個人主義、生きる上で欠かせないお洒落。パリは流血の記憶を留めつつ不思議な混淆の香気を放つ。2018/01/13
みかんの下
5
てっきり軽い備忘録のようなものかと思い手に取った。碌に表紙を検めずに読み進めると思いの外含蓄のある文章で、慌てて著者を確認し納得。(訳書であるためこれが本来の癖であるかは判ぜないが)独特の文体で綴られる内容は大雑把に上げても哲学、政治、そして勿論LGBTや文学についてなどと幅広い。著者の「遊歩者」の捉え方が興味深かった。2014/04/26