内容説明
探偵の免許を剥奪された、もと私立探偵のハーディングは記録に残らない非公式な仕事を友人から回してもらってシカゴの街で生きていた。凍える冬の夜中に呼び出されたハーディングに依頼された仕事は、大学教授の地位にある美容整形外科医の素行調査だった。依頼主であるその妻は白い肌に無数の痣が残る身体を震わせていた―「離婚できる証拠がほしいの」ハーディングは数週間にわたる監視の末、医師が愛人と変態的なセックスに耽っている事実をつきとめる。そこで調査は終わるはずだった。しかし、医師の周辺で変死事件が相次ぐ。「今回の件はこれで終わりだ」と友人は止めるが、ハーディングは事件から手を引けない。彼の探偵魂がそれを許さないのだ。しかし、この探偵魂こそがハーディングが探偵免許を剥奪された原因でもあった。凍える夜に震えていた人妻のために、調査を続けるハーディングの脳裏に過去の忌まわしい記憶がよぎる―『無法のL』(キンジー・ミルホーン・シリーズ)のスー・グラフトンが発掘したアメリカ・ミステリー界期待の大型新人が放つ、魂を揺さぶるハードボイルド巨編。