内容説明
幻想領、再び。不思議で、寂しげで、そして少し怖い“お噺”たち…1970年代に“大人の童話”の走りとなった定番の傑作選が耽美的装画の名品とともに待望の再臨!!
著者等紹介
デ・ラ・メア,ウォルター[デラメア,ウォルター] [de la Mare,Walter]
1873‐1956。イギリスの作家、詩人。幻想味と怪奇味を帯びた作風で知られる。児童文学作品も多く、『子どものための物語集』で、カーネギー賞を受賞
脇明子[ワキアキコ]
1948‐。翻訳家、ノートルダム清心女子大学名誉教授、岡山子どもの本の会代表。児童文学を中心とした英米文学の訳書多数。読書の大切さについての著書も多い
橋本治[ハシモトオサム]
1948‐2019。東大駒場祭のポスターで注目を集め、まずは挿絵画家として活躍。本作品集の挿絵、装幀は最初期の仕事の一つで、ビアズリーなどの西欧世紀末美術と日本の少女漫画との、先駆的な折衷と評された。小説や評論の分野でも活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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帽子を編みます
45
デ・ラ・メアに橋本治の装画、美しい本です。この巻は女の子のお話。なぜでしょう音のない世界が広がるような気がします。「謎」はなんとも言えずに魅力的。「ルーシー」のジーン・エルスペット、夢見がちで実際的ではなくみそっかす扱いだった彼女、境遇の変化の中で家事をこなし生き生きと過ごす力を持っていました。彼女に共感する方も多いのでは。作品に登場する老女の怖さ、なかでも「アリスの教母」アリスが秘密など欲しくないと逃げだす気持ち同感します。そして大人になって振り返ってみても、秘密などいらなかったと思うことでしょう。2023/03/22
慧の本箱
19
英国の詩人で童話作家でもあるウォルター・デ・ラ・メアの短編集お初です。ページの中には少女とおばあさんが登場します。ただ、どのおばあさんも少女との境界線が曖昧で気が付くと、どんどん少女になっていきます。極め付きは表題の「アリスの教母さま」のおばあさん。まるで『千と千尋の神隠し』の湯婆婆みたいな350歳のおばあさん。永遠の少女を望むのって・・・ちょっぴり複雑な気分で読了。2024/04/03
月音
2
祝・復刊‼デ・ラ・メア作品の女性──、特に老婦人はみんな不思議な魅力をたたえています。妖精のように愛らしく、仙女のように賢明で、魔女のように謎めく人たち。よく知られた『謎』でも、私は樫の木箱よりも老婦人の方が最大の謎に思えるのですが。幻想的な中にも老いや孤独の現実をきちんと描くからこそ、不思議なことがより美しく、胸にしみます。挿絵が作家の橋本治さんで、えーっ⁉画家としても活躍されてたとは。ビアズリーら世紀末絵画や、70年代少女漫画を思わせる繊細なタッチが物語の雰囲気にぴったり。脇さんの訳もすばらしい。2023/04/28
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- 和書
- たまげた録 講談社文庫