内容説明
戦争が戦後のよりよい解決をもたらしたか否か―長年イギリス軍事史学会々長の座にある著者が、近・現代史に画期をもたらした代表的な戦争を具体的に検討し、戦争において“勝つ”ことの意味を問う。
目次
第1章 フリードリッヒ大王と制限戦争の時代
第2章 ナポレオンと決定的な戦闘
第3章 ナポレオンの遺産―ジョミニとクラウゼヴィッツの影響
第4章 モルトケとドイツ統一戦争
第5章 シュリーフェン時代の勝利の模索―一八九〇~一九一四
第6章 第一次世界大戦における勝利の追求と戦争の余波
第7章 第二次世界大戦における勝利の追求
第8章 核時代における勝利の追求
著者等紹介
ボンド,ブライアン[Bond,Brian]
1936年生まれ。オックスフォード大学ウォチェスター・カレッジ及びロンドン大学キングズ・カレッジ修了。現在、ロンドン大学キングズ・カレッジ戦争研究学部軍事史学教授。1986年より英国軍事史学会々長。「Liddell Hart:A Study of his Military Thought」(1977)、「British Military Policy between the Two World Wars」(1980)、「War and Society in Europe,1870-1970」(1984)などの著書がある
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Glitter
1
勝利を追求していくと、現代では戦争による勝利は利益がないということになるらしい。 例え理想的に勝利したとしても 勝てば国民はさらなる勝利を望み 現実的な妥協ができず 勝ちすぎれば周辺国が連合して押しつぶされることになる。 戦場の戦術でも戦略でもなく、政治外交こそが国の利益になる。 戦場における決定的な勝利が国家の繁栄に繋がるという幻想が消え去った。2018/12/10
タカバル
0
戦場における決定的な勝利を、永続的な政治的勝利に繋げることは簡単なことでは無い。中世の戦いと異なり、戦争が消耗を伴う総力戦の様相を見せ始めると、完全な敗北を認めるまで大変な犠牲と時間を要する。もはやクラウゼヴィッツの提唱した「政治の手段としての戦争」は自由主義国家の選択肢として望ましくないのかも知れない。2024/10/13