目次
第1章 アナトリアのアルメニア人とギリシャ人(オスマン人とアルメニア人;青年トルコ人運動 ほか)
第2章 ユダヤ人に対するナチ党の攻撃(ナチ党のイデオロギー;優生学 ほか)
第3章 ソ連によるチェチェン人=イングーシ人とクリミア・タタール人の追放(一九四四年の追放の背景;チェチェン人とイングーシ人 ほか)
第4章 ポーランドとチェコスロヴァキアからのドイツ人の追放(ズデーテン地方からのドイツ人追放;移送 ほか)
第5章 ユーゴスラヴィア継承諸国の戦争(背景;一九八〇年代のナショナリストの熱狂 ほか)
著者等紹介
山本明代[ヤマモトアキヨ]
2001年、千葉大学大学院社会文化科学研究科博士後期課程修了(学術博士)。名古屋市立大学大学院人間文化研究科講師、准教授を経て、名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授
百瀬亮司[モモセリョウジ]
1975年、松本市に生まれる。2007年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。現在、跡見学園女子大学兼任講師、名古屋市立大学大学院人間文化研究科研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
21
カッとなって争い他人を殺してしまう。そういう感情の昂りとは全く違う形で、人は自らの意にそぐわない集団を冷静に冷酷に存在ごと消し去ろうとする。群と群の対立というものは獣から進化した僕たちから拭い去れない原罪なのかもしれないけれど、他者(の集団)への憎しみを殺し尽くそうという極端な方向ではなく、もう少し穏やかな形に収束させていく知恵をそろそろ身につけるべきだと思うのだ。食うため以外の目的で他者を殺すべきではない。存在が気に食わなくても、気に食わないという認識のままで存在自体は許容出来るような知恵とおおらかさ。2017/09/09
陽香
1
201409152016/06/15
kiltcool
1
民族浄化は特定の場所や土地からの他者の排除である。自ら住居を放棄する者がいるはずはなく、必然的に暴力を伴うこととなる。結果的にジェノサイドにつながることもあるが、ジェノサイドと民族浄化はイコールではない。また、為政者は歴史から良いことばかり学ぶわけではなく、近代化された民族浄化の手法は過去の事例(ナチとセルビアのように)を踏襲することが多い。現場ではいきあたりばったりな行為があるとしても、統治サイドでは用意周到に計画されている(レイプですら)。問題の解決は当事者のみでは不可能で、国際社会の関与が不可欠。2014/11/10
Kenji Suzuya
1
アルメニア人虐殺、チェチェン人・タタール人強制移住、ホロコースト、ドイツ人追放、ユーゴ内戦の5つを事例に、民族浄化を描く。民族浄化は、人種主義、国民国家形成のナショナリズム、近代工業力をベースにしているという点において、20世紀に特有の現象であると指摘する。直接銃殺をしたというわけでなくとも、鉄道を利用しての強制移住や劣悪な衛生・食料環境を通じて多数の人間が「殺害」されていく過程は、おぞましい。2014/10/31