出版社内容情報
9世紀,イスラム時代のコルドバで,49人のキリスト教徒がイスラム教を批難して首をはねられた。かれらは極刑となって殉教者となることを企図したのである。三つの宗教の混在するスペインの不思議な事件である
内容説明
スペイン中世、後ウマイヤ朝時代の首都コルドバに巻き起ったキリスト教徒の殉教事件。信仰をゆるされた経典の民がなぜ自殺に等しい刑死(殉教)を望んだか。三つの宗教の接点であった中世スペインの多元的世界を理解する本邦初の歴史書。
目次
第1章 殉教の背景―イスラム支配下コルドバのキリスト教徒
第2章 殉教者たち(コルドバの殉教者たち;コルドバの殉教者とその歴史家たち)
第3章 コルドバのエウロギウス(エウロギウスの生涯;エウロギウスと殉教者たち)
第4章 殉教者たちの擁護(奇跡なき殉教;支配者の宗教の問題;迫害なき殉教)
第5章 殉教者たち再訪―殉教者たちとその動機
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
9世紀半ば、イスラム教徒の支配下にあったスペインの都市コルトバで断続的に発生したキリスト教徒の「殉死」に関する研究論文。キリスト教史の専門的知識がにないとわからない記述がしばしばあり、決して読み易いとは言えないが、「イスラム教徒統治下のキリスト教徒の諸相」を伝える興味深い内容。イスラム教は教義でキリスト教徒の信仰を制限付きで保障しており、イスラム教徒とは共存関係にあった。このコルドバの場合、教義上の原則とは違う、現実に社会を営む上での色々な関係が複雑に出来上がっていた。それは単純に対立とも共存とも括れない2022/10/31
穀雨
0
850年代にイスラーム支配下のコルドバで続発したキリスト教徒の殉教がテーマ。博士論文がもとになっているためマニアックな内容だが、キリスト教関連の専門用語を別にすれば比較的読みやすいのではないかと思う。2017/03/13
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