出版社内容情報
東アジアでは,上に王朝と称する強固な国家組織があり,その下部は定住農民の自治・共同的な在地社会が発達し,両者は安定し,静的に見えながら実はある種の緊張関係があり,歴史のダイナミズムを生んだ。20人の寄稿
内容説明
本書は、唐代史研究会の会員を中心としておこなった、1995年度から1997年度の文部省科学研究費補助金基盤研究(A)(1)による「東アジア史における国家と地域社会―主として10世紀以前―」の研究成果報告書をもとに、唐代史研究会報告の論文集として編集したものである。10世紀以前の東アジア史における国家と地域との諸関係、あるいは両者の具体相をより多角的に明らかにし、東アジア世界の歴史像を検討していく上での基礎とした。
目次
1 中国の国家と地域(長江文明と尹湾漢簡・馬王堆「小城図」―中国古代における国家と地域;楚・秦・漢墓の変遷より秦の統一をみる―頭向・葬式・墓葬構造等を通じて;南朝政権と南徐州社会 ほか)
2 中国の辺境地域(民族問題を中心としてみた魏晋段階における四川地域の状況について;ラティモアの辺境論と漢~唐間の中国北辺;高昌国の坊制に関する二、三の問題)
3 東アジア諸地域(東アジア中古の荘園をめぐる一考察―荘・庄の語の起源;唐朝より見た渤海の名分的位置付けについて;環日本海諸「地域」間交流史の中の渤海国―7~10世紀における航路の変遷を中心に ほか)