出版社内容情報
各国の総合的・比較史的研究に基づき,身分制議会をカトリック圏固有のシステムととらえ,近代の人権思想もここから導かれるとする文化史的な画期的発見,その影響に注目が集まる。図写79点
内容説明
ヨーロッパとは旧カトリック教会圏。身分制議会はカトリック特有の制度。聖職者、貴族、都市民はそれぞれ身分(団体)を形成し、特有の権利を持ち、やがて身分制議会として特権を主張し、ヨーロッパ近代の自由や権利の思想はここから生まれる。
目次
第1章 身分制の時代
第2章 身分制議会の始まり
第3章 ヨーロッパ各国の身分制議会
第4章 身分制議会の衰退
第5章 結語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ohe Hiroyuki
2
本書は、タイトルのとおり、身分制議会の歴史に着目して欧州史を解こうとする一冊である。▼議会に着目して歴史を見るというのは大胆な切り口である。ただ、そもそも欧州史が分からないとその大胆さも見えないような気がする。▼本書には大変丁寧な読書案内がついている(原文もついている)。著者の紹介する書籍を通読して、改めて本書を読めば、本書の価値をより理解することができるであろう。2023/06/27
加治佐不比等
0
カトリック圏は独特の歴史を歩んだようである。2016/05/01
mongkeke_tarikh
0
欧州の「身分制議会」というとフランス革命の直前まであったフランスの三部会のそれを想起させられるが、実は中世(大体は12世紀ルネサンス前後)から欧州各国やその領邦で様々な形で成立していったもので、時代ごと地域ごとにその特徴は様々だったという。「身分制」自体がカトリック教圏で成立したもので、国王も貴族達も庶民代表の市民達も、それぞれの思惑や政治的な正当性を標榜して参画し、やがて絶対王政の伸張によって役割を終えて行くが、それでも各国の近代選挙制度の基盤にもなって行った感じとの事。短著ながら非常に興味深い。2018/09/26