出版社内容情報
ハプスブルク帝国から小国へ転落,次いでナチス・ドイツに併合され,敗戦後は永世中立国へ,激動するオーストリアに歴史の教訓を見るという意味で「現代史」が書かれている。本書は歴史学のあり方の一典型といえる
内容説明
ハプスブルク大帝国の滅亡、ナチス・ドイツに併合、第二次大戦の敗北、そして戦後、永世中立の小国家の繁栄。激動の現代史を生き残ったオーストリアに見る、民主主義の成熟と政治家・国民の歴史の知恵。
目次
第1章 戦間期オーストリア史の教訓
第2章 一九一九年のオーストリア社会民主党とハンガリー・ソヴェト共和国の関係
第3章 初期の「護国団」運動について
第4章 一九三四年の内乱とオーストリア社会民主党―一つの新史料を手がかりにして
第5章 オーストリアと「合邦」(アンシュルス)問題
第6章 カール・レンナーとオーストリア現代史―一九四五年を中心に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
第一次大戦後、帝国崩壊後に成立したオーストリア第一共和国の政治史の変遷と、第二次大戦後の第二共和国発足時に着目した政治史。第一共和国は国民にとって、大帝国から敗戦によって小さな共和国へと貶められた、認めたくない国家体制だった。それ故、指導層もドイツとの合邦を最終目標であり、共和国を存続させようという意欲は低かった。このように、存在意義にそもそも国民が疑義を抱いているような国がドイツに合邦されるのも、当然と言えば当然の帰結だった。社会も又保守派と左派の対立が深刻化し、30年代には独自のファシズム体制を生む。2023/04/27