内容説明
新自由主義と自己責任論の残した、無惨な破局のあとに、「相互扶助」は、人間と社会の再生をかけたキーワードだ。「3.11」後に再び学ぶ、助け合う関係の歴史、共存の哲学。
目次
動物の相互扶助
未開人の相互扶助
野蛮人の相互扶助
中世都市の相互扶助
近代社会の相互扶助
著者等紹介
クロポトキン,ピョートル[クロポトキン,ピョートル][Kropotkin,Pyotr Alekseevich]
1842~1921。ロシアの思想家。ロシアでの革命家としての活動は1870年代から1880年代の後半で終わっている。その後イギリスに亡命し、研究・執筆活動を続けた
大杉栄[オオスギサカエ]
1885~1923。幸徳秋水らの平民社に加わり、電車賃値上げ反対運動、赤旗事件などで数回投獄された。大逆事件後の社会主義冬の時代には、文芸・思想界の近代的自我覚醒の思想を批判しつつアナキズム思想を独特の形で深めた。1923年、関東大震災の混乱の中で、憲兵大尉甘粕正彦により殺害された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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肉欲棒太郎
2
お互いを助け合う動物たちの姿にほんわかする。読了して、カール・シュミットの「すべての政治理念は、それが性悪説を前提としているか、性善説を前提としているかによって分類できる」という言葉を思い出した。本書は完全に後者だろう。2015/11/05
のうみそしる
1
万人の万人に対する闘争というのだけが進化の元ではない。むしろ動物や類人猿、さらには中世社会をよく調べれば相互扶助が繁栄のカギであることがわかる。中世芸術復興は自由都市とギルドから生まれた。やっぱり支配者に押さえつけられなければいいものができる。共同体、自治は国家によってことごとく滅ぼされたかに見える。だが、野菜が取れすぎたと隣近所に配るとき、見知らぬ人を思わず助けてしまうとき、そこに相互扶助がある。相互扶助はどうしたって死なない。問題はそれをどう広げていくかだ。ありがとう大杉栄。スパシーバ、クロポトキン。2025/08/17