内容説明
トゥルファン出土の多様な絹織物の実物を手掛かりに、その技術発展とデザインの変化を辿ることによって、ユーラシア史上における壮大な文化交流の一端を明らかにする。20年余りにも及ぶ織物調査の成果である未発表資料・図版を収録。
目次
第1編 シルクロードと染織研究(シルクロードにおける織物文化とトゥルファン;トゥルファン出土染織資料の概観;染織資料調査、研究法の確立と発展)
第2編 カラホージャ・アスターナ出土染織資料(錦に関する諸問題;連珠円内単独文錦;連珠円内対象文錦;吐魯番文書に現れる各種の錦の実態について)
第3編 カラホージャ・アスターナ以降の出土染織資料(大谷探検隊将来三日月文錦;ドイツ隊発見の棉ベルベット;ドイツ隊発見の金襴)
第4編 トゥルファン出土染織資料に見る織物の発展史(トゥルファン出土染織資料に見る織技術史;トゥルファン出土染織資料に見る文様史)
著者等紹介
坂本和子[サカモトカズコ]
1935年大阪府堺市生まれ。1970年大阪外国語大学露語科卒業。2006年大阪大学大学院文学研究科後期課程単位取得退学。2008年文学博士。国士舘大学イラク古代文化研究所共同研究員。大学卒業後、博物館や研究所の共同研究員として出土染織資料の海外調査に携わり、論文・報告書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nina
10
以前『シルクロード発掘秘話』という、20世紀前半頃の中央アジアお宝発掘譚を読んだ時に、主な出土品に含まれていた織物について詳細を知りたくてこの本に行きついた。学術論文なので素人にはくだくだしく感じる部分もあるものの、アジア大陸を毛・棉・絹の3つの織物文化圏に分け、そのちょうど中央あたりに位置する現新疆ウィグル自治区トゥルファンの出土品から、織りの技術や文様の東西交流の痕跡と発展の流れを考察するという内容はかなり興味深かった。どちらかといえば技術も文様も西のペルシャから東への影響力が強かったようだ。2013/11/07