内容説明
縁起の他にその事物たらしめる本質=実体があるのではない。『ウィトゲンシュタインと禅』、『ウィトゲンシュタインから道元へ―私説『正法眼蔵』』に続いて、実体を否定し、意味的存在としての実在つまり言語ゲームの世界を説く『中論』を解明しつくした名著。
目次
縁(四縁)の考察
運動(去ること)の考察
(眼などの)認識能力(根)の考察
集合体の考察
要素(界)の考察
貪りと貪る者の考察
作られたもの(有為)の考察
行為(業)と行為主体の考察
先行するものの考察
火と薪の考察〔ほか〕
著者等紹介
黒崎宏[クロサキヒロシ]
1928年、東京に生まれる。66年、東京大学大学院博士課程(哲学)を修了。ながく成城大学教授をつとめ、現在は同大学名誉教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
2
中観派 言語ゲーム 存在論 意味 解釈 翻訳 中村元 形而上学 知識 認識論 反実在論 事実 現象 反省 議論 形而上学的議論 反論 価値 体験 直観 反証 伝統 教義 文化 知恵 直観主義 反実在主義 形式主義 認識 反省的思考 目的 体系的思考 変化 確信 反応 受容 伝達 価値観 体験的知識 直観的理解 反省的実践 知識の限界 哲学的探求 言語ゲーム論: 言語の意味がその使用に依存 龍樹・空の思想: すべての存在は相互依存的である 存在と認識: 言語と存在の関係、人間の認識への影響2025/01/07
汽
2
龍樹の中論を様々な訳を併せながら原典に近い形で書き出し、難しい部分は黒崎氏が私見を交えて解説するという形。三時門破という論法を駆使してなにもかも存在しないと切り捨てていき十七章から突然存在するもの(実際には存在することもなく存在しないこともないが)について語り始める。が、やはり八正道の中身とか部派仏教が語る生き方のようなものには触れず非常に哲学色が強い。読書中は気づかなかったがこの空の哲学も下手に口を挟めばその途端丸め込められる性質を持っているのは言語ゲームと似ていると感想を書いていて思った。2017/10/17
しょ~や
0
中論自体をちゃんと知らないからかもしれないが、中論の文にはいまいち納得しかねる。ウィトゲンシュタインや中論についてもう少し学んでから読むとまた印象が変わるだろうか。2015/06/19
otakichi
0
中論自体の論証の仕方が現代人(現代日本人か?)になじみのないやり方かと思う。それゆえ?を残したまま読み進んでいくことになり、全体としてなにがいいたいのか?よく分からなかった。2009/12/16
moon-shot
0
ロッベリの「世界は関係でできている」で龍樹が登場したため、この本を探し出しました。「中論」は全体がほぼ禅問答で一度挫折したけど、黒崎先生の解説のおかげで本書は読めた。そして、気鋭の理論物理学者ロッベリと同じ主張、即ち「原子論の否定」と「時間の否定」が書かれていたことに感動。龍樹には賛否両論があり、梅原猛も過度の理論化を批判した。その背景には、宗教が自然科学の領域を侵すと必ず屈辱的な敗北を喫すと言う歴史があったんだけど、二千年の時を経て、遂に波動関数が経典の思想を記述し始めた。仏教は一矢報いるのではないか。2022/09/17




