内容説明
『旅芸人の記録』の巨匠アンゲロプロスへの壮麗なオマージュ。
目次
第1部 叙事詩的映画論
第2部 『旅芸人の記録』論
第3部 『旅芸人の記録』の前後
第4部 『英雄の叙事詩』
第5部 「旅」と「国境」
アンゲロプロスの瞳
著者等紹介
若菜薫[ワカナカオル]
1956年千葉生まれ。中央大学仏文科卒業
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bo-he-mian
14
テオ・アンゲロプロスに関する本は、ジブンの知る限りでは2冊しか出版されいない。ヴァルター ルグレ著『アンゲロプロス-沈黙のパルチザン』は監督の評伝なので、作品論が読みたい方は本書を。と言っても読破したわけではないのだけど、なぜレビューを書くかというと、やや頭でっかちで読みづらい要素が強い、と思ったからだ。ジブンは、文筆業で食ってる知識人には2種類いると考えていて、「読者を面白がらせよう」と思って文章を書いている人と、「自分の言いたい事を主張しているだけ」の人で、この著者はどちらかというと後者だと思う。2019/04/16
taro335
1
「予備知識」や、「傾向と対策」がなければなんのこっちゃわからないアンゲロプロス映画の予習・復習に最適。この本のおかげでより作品を楽しめました。特に『旅芸人の記録』を中心に書かれている。著者曰わく「アンゲロプロスの『旅芸人の記録』以外の作品は『旅芸人の記録』の脚注にすぎない」。(表紙はなぜかアレクサンダー大王ですが…)2012/09/19
ra0_0in
0
ヴィスコンティやエイゼンシュタインなどと比較しながら、「主題」と「表現」それぞれにおける「リアリズム」と「様式主義」という対立軸によって4つに分類し、アンゲロプロスの映像を分析した序章部分が面白い。肝心の作品論については、一通りの歴史的背景と、あらすじ的なシーン分析があるので簡便な理解に役立つが、やや形式主義に偏重した分析手法はしばしば冗長であるし、難解なシーンについては「詩的」とか「曖昧」とか言って通り過ぎているので、学術書としてレベルは高くない。伝記的アプローチが欠如しているのが最大の欠点だと思う。2014/05/26