内容説明
アリストテレス以降のヨーロッパ演劇の本質を探るレッシングの代表作。最新の研究成果を踏まえ、充実した注と解説を付す。
著者等紹介
南大路振一[ミナミオオジシンイチ]
1923年京都生まれ。1951年京都大学文学部卒業。大阪市立大学、姫路独協大学名誉教授
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感想・レビュー
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しゅん
14
今でこそドイツは多くの劇作家を輩出した演劇国だが、18世紀には演劇は低俗なものという扱いだったという。そんな時代に芸術意識向上のため改革を試みたレッシングの悪戦苦闘。「悲劇は同情を催わせる詩である」など、日記のように書かれる劇評の中で飛び出す演劇論はアリストテレスを軸にドイツ演劇の基礎をここで打ち立てようという熱意と詳細な分析の上に成り立ち、今でも有効な言葉を多く含む。宗教と演劇の線引きは興味深い。俳優論を書いたら俳優に抗議を受けて書けなくなったとか生々しい話もあり、時代の蠢きが感じられる古典。2017/11/14
のほほんなかえるさん
2
ドイツ人劇作家レッシングが託されたハンブルグ劇場での仕事。それはドイツ演劇の改革運動であった。低俗娯楽から芸術へ。フランス啓蒙思想を濃厚に受けながら、独自の演劇文化を切り開かんとする著者のその熱気たるや、火傷するぜ。2011/03/22