感想・レビュー
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はる
5
皇帝廟 オーストリア・ハプスブルク君主国はフランツ・ヨーゼフ皇帝の死と東部戦線の敗走の末に突然なくなった。その日から自分がオーストリア人、ウクライナ人、アルメニア人、ドイツ人の何れでも無かったことに気づいた。私の経験では平成の大合併がそれまでの地名を地図から消し、戸籍には抹消線で新地名が入れられた。そしてバス停もなくなった。ロートの数百年の歴史が骨の髄まで染み着くアイデンティティーは一夜の内になくなりバラバラになる、その感覚とはいかなるものだろう?国破れた山河に谺するのは「ラインの護り」だった。2021/06/18