- ホーム
- > 和書
- > 芸術
- > 絵画・作品集
- > 絵画・作品集(西洋)
内容説明
若くしてずばぬけた才能を示し、当時テンペラ画家として開花期にありながら、帝銀事件の犯人として逮捕され、95歳で獄死するまでの30余年死の恐怖と闘いつづけながら約2000点におよぶテンペラ画を描きつづけた平沢貞通。その〈幻の画業〉を始めて集大成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
165
若い頃から晩年までの123点を収める。初期作「昆布乾すアイヌ」を絶賛する針生一郎は、コルサコフ病罹患後の平沢を《観念的な様式化と通俗的な説教臭をまぬがれない》と酷評する。確かにその時期には停滞を感じもするが、「網子の時」など感動を覚える作品も多い。心に焼き付けた石狩原野の広大な空間性、弱者と自然を生活の眼で捉えた静謐な気品…等の特徴は一貫していると思う。獄中作は弱々しく病的な所もあるが、見方を変えれば、〝観照の画家〟だった人が一切の観照を禁じられ、〝記憶の画家〟として生き抜いた凄絶な戦いの記録ともいえる。2025/02/04