内容説明
1923(大正12)年9月の関東大震災により、突然地中からその姿を現した旧相模川橋脚。その当時は、源頼朝が架橋に際して渡り初めした橋の跡として価値づけられ、1926(大正15)年に国の「史跡」に指定された。2011(平成13)年3月、東日本大震災により日本は未曾有の被害を受けた。日本ではこれまで、断層などは地震災害の記録として位置づけ天然記念物に指定してきた。しかし、地震災害の記録も多様である。旧相模川橋脚は関東大震災から実に約90年の時を経て新たな価値が見出され、2016(平成28)年に国の「天然記念物」としても指定された(重複指定)。旧相模川橋脚は、それほど有名な遺跡ではない。しかし、2016年の天然記念物指定を通して、文化財保護の考え方は時代背景や社会情勢によって変わることを示した、唯一無二の遺跡となった。この事実は、文化財保護という枠組みのなか、旧相模川橋脚に四半世紀向き合ってきた筆者の努力の賜物といえる。
目次
第1部 遺跡の概要―旧相模川橋脚とは(驚きの発見と保存への道;旧相模川橋脚の特徴)
第2部 遺跡のあゆみ―発掘調査が語るもの(発掘調査の概要;中世橋遺構―調査成果1;近現代遺構―調査成果2;明らかになった複合遺跡―調査成果3;地震痕跡の確認―調査成果4;遺跡の整備・活用と未来への継承)
著者等紹介
大村浩司[オオムラコウジ]
1954年、広島県生まれ。國學院大學文学部史学科卒。現在、神奈川県茅ヶ崎市教育委員会文化財調査員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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