内容説明
古墳時代は「律令国家の前史、古代国家の形成過程」を前提とする研究の現状に警鐘を鳴らし、長い研究史と膨大な調査成果を整理しつつ、大局的な視野に立ちその時代の姿を見つめ直す。
目次
1 三~七世紀の歴史像(考古学研究の古墳時代像;文献史学の「大化前代」像;歴史学(文献史学)と考古学)
2 大和政権の展開(古墳時代前期の大和政権;巨大前方後円墳と河内政権論;「国家形成」への転換期)
3 大和政権の地方への勢力拡大(東国の「後進性・自立性・直轄性」と畿内勢力;中央史観と古代東国像;東国古墳の「特殊な」事例―激増した後期前方後円墳)
4 新しい古墳時代像創出に向けて(前方後円墳とはなにか;前方後円墳の成立と消滅;前方後円墳に媒介された政治秩序)
著者等紹介
広瀬和雄[ヒロセカズオ]
1947年京都市生まれ。1970年同志社大学商学部卒業。現在、国立歴史民俗博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。文学博士(大阪大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月をみるもの
8
なぜ自分が古墳時代にこんなに惹かれるかというと、それが文献による歴史学と、出土品を扱う考古学が出逢う(すれちがう?)時代だからだ。古事記/日本書紀の呪縛に囚われない考古学を求める著者のストイックな姿勢は、考古学徒としての矜持でもあるのだ。2018/05/03
遊動する旧石器人
0
書いてあることをかいつまめば、古墳とは共通性と階層性を見せるイデオロギー装置、東国は後進的ではない論と終末期論。古墳時代には中央ー地方の関係ができている。国家とは何か?を概念化。様々な文献史家や考古学者論をひき、古墳時代像を再考しようとすが、最後は前方後円墳国家。2013/11/30