内容説明
アイヌのアイデンティティーをもっともよく示すと言われ、儀礼のなかで最高位に位置づけられる「クマ送り儀礼」。本書は札幌大学ペリフェリア・文化学研究所のシンポジウムの成果を集約・補筆し、民族誌と考古学の両面からクマ送りの実際や起源を検証するとともに、その今日的意味をさぐる。
目次
1 クマ送りの民族誌(北方諸民族におけるクマ送り儀礼;口承文芸・文献資料にみられる送り儀礼 ほか)
2 考古学から探るクマ送り(考古学から探るクマ送りの起源;なぜクマ送りなのか ほか)
3 クマ送り研究の現状と課題(クマ送り研究の現状と課題;さらに問題点を探って)
付論 アオシマナイ遺跡(貝塚・チャシ)と「エゾシカ送り」
著者等紹介
木村英明[キムラヒデアキ]
1943年北海道生。明治大学大学院文学研究科修士課程修了。札幌大学文化学部教授
本田優子[ホンダユウコ]
1957年石川県生。北海道大学文学部卒業。札幌大学助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
1
ニヴフくま送りはじめ,クマ送りについて,いろいろな視点の論説集。 前半は図写真が多い。 子熊送りの映像作品を見ていたので,流れから,なんとなくつながりが理解できた。 書き物だけでは,印象が涌かないかもしれない。映像作品もぜひ。2012/05/01
激辛ラーメン
0
レポートの題材に。"クマ送り"はローカル局のドキュメンタリーから。既にご存知かもわからないが、アイヌ文化にはイオマンテという宗教儀礼がある。冬眠中に出産した母グマを殺し、生け捕りにしたその小グマを村の中で飼育したのち殺す。彼らが生態系の頂点と仰ぐヒグマに感謝しその再来を祈る目的で行われるが、残虐で野蛮な行為として道より一時禁止の通達が下った過去がある。非常に身近でわかりやすい'文化人類学'の事例。2020/01/29