内容説明
明治期の文学界を牽引した柳郎。「松川事件」の真相究明に晩年をかけ、大正・昭和の知性を代表した和郎。病と闘いながら逝った桃子。献身的に三代の文学を支えたはま夫人を含めた亀山恒子の交流記は貴重な日本文学の遺産である。
目次
広津和郎氏の心の襞
続 広津和郎氏の心の襞―思いつくまま
広津桃子さんと散文精神
遺稿 輝いていた日々―わたしの中の広津氏ご夫妻
亀山恒子さんの思い出(上原アイ)
亀山恒子さんを悼む(堀江朋子)
著者等紹介
亀山恒子[カメヤマツネコ]
1918年4月東京生まれ。文化学院美術部卒業。1938年広津和郎氏に師事。1940年「文芸首都」の同人。また早船ちよ氏らの「新作家」の同人に加えられる。のち「文芸復興」の同人。1992年論創社より『風の森』上梓。2010年12月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shinano
15
何度か涙してしまった。弟子(著者)が思い出す度に感謝し心から尊敬した師広津和郎がこの本には溢れていて、読み終えて本を閉じても、にじみあふれでてきている様である。著者に対して親身に常に優しく心からの、広津和郎の語った言葉(広津が文章にした言葉でなく)がとてもいいなあと思う。宇野浩二が何かで書いていた「作品を読むよりその人間を読む」は、ぼくにとって広津和郎はまさにそういう対象のひとだ。著者が会話した広津の言葉から人間広津和郎を読んでいるような気になる一冊であった。「父広津和郎」の次はコレですよ。読む順番は★2015/01/29