内容説明
アメリカだけでなく、日本やヨーロッパと同じくロシアにもジャズはある。前衛の宝庫であったロシア・ジャズの軌跡を辿り、魅力を語る。
目次
第1章 ロシア・ジャズの黎明(二〇世紀初頭の大衆音楽とエストラーダ;歌姫プレヴィーツカヤ;ロシア・アヴァンギャルドとジャズ)
第2章 歌って踊るソビエト・ジャズ(本格派のツファスマン;テア・ジャズとウチョーソフ;前線で歌うジャズ)
第3章 スイングはとまらない(日本人から見たソビエト・ジャズと戦後のジャズ排斥;ジャズ・バンドの復活;六〇年代のソビエト・ジャズ)
第4章 世界の最先端を行く(アンダーグラウンドの実験;グループ・アルハンゲリスク;過激なる前衛たち;クリョーヒンとポップ・メハニカ)
結び 二一世紀のロシア・ジャズ
著者等紹介
鈴木正美[スズキマサミ]
1959年、埼玉県鳩ヶ谷市生まれ。早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒、同大学院文学研究科修士課程修了。富士通第一システムエンジニアリング、名著普及会を経て、事典編集者や大学非常勤講師を勤める。2000年、稚内北星学園大学情報メディア学部教授。2004年、新潟大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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1959のコールマン
28
☆5。いやあ、面白かった!たった63ページの小さな冊子だが、中身はだいぶ濃い!そして熱い!ロシア・ジャズの黎明期から2006年までぎゅうぎゅうに情報が詰め込まれている。個人的に興味深かったのは、大粛清時代を生き延び、戦後の弾圧にもすぐ立ち直った理由が「ジャズは三流芸術」だ、と見られていたいうところ。あはは。まあ西欧よりタイムラグがあるが、ロシアにもちゃんと前衛ジャズが出てきている。個人的にはガネーリン・トリオ、グループ・アルハンゲリスクあたりを聴いてみたい・・・というよりライブを生で見たかったなあ・・・。2019/07/31
ジャズクラ本
6
・エストラーダとはロシア版の寄席・アメリカで最初のジャズレコードが録音されたのは1917年2月26日「オリジナル ディキシーランド ジャズ バンド」による演奏・チャップリン、ハロルド ロイド、バスター キートンは当時のソ連でも人気だった。スターリンも映写室でハリウッド映画を観ていた・ショスタコーヴィチはジャズを取り入れたがジャズに対する批評は厳しかった・日本のジャズ史の始まりは1909年の日本橋三越音楽隊設立・シベリア抑留の日本の音楽家はロシア民謡を演奏することで優遇された・木村浩「ソビエトざっくばらん」2019/08/18
★★★★★
3
これも昨日と同じブックレットの一冊。ロシアのジャズ史とその現状を概説する小冊子です。私にとってロシア・ジャズは全く未知の領域なので、YOUTUBEを観ながら読んでいたのですが、いずれのバンドも予想以上にアヴァンギャルドで格好良いですね!そして、貴重な映像情報がこんなにもたやすく手に入るとは、なんとすごい(という曖昧な形容にしておきます、ここでは一応)時代かとしみじみ。2009/09/15
晴天
1
なんとなく、「アメリカの退廃音楽として弾圧されつつも人々は隠れて聞いていた」程度のイメージしかなかったロシアにおけるジャズについて、いかにして受容され、独自の発展を見せ、大戦中は慰問や戦意高揚に積極的に参画していったか、そして戦後 における外国のラジオ放送や密造レコードによる最新の楽曲の影響を受けたアマチュアたちがいかに躍進したかなど、その道のりは決して平坦ではなく、簡単に語れるものではないと思った。2022/04/21
samandabadra
1
トゥバのサインホーに関しての言及もあり。2014/05/24