はじめて出逢う世界のおはなし
キオスク

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  • サイズ B40判/ページ数 275p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784885880933
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

国際的に注目される現代オーストリア文学の人気作家、初邦訳!1937年秋、ナチズムが台頭するウィーン。少年はキオスクでフロイトに出会った。フロイトは少年の話に耳をかたむけた。――17歳で田舎から出てきた少年フランツの目を通して時代のうねりを活写した、ノスタルジックな空気感がたまらない青春小説。国際的に注目される現代オーストリア文学の人気作家、初邦訳!

ローベルト・ゼーターラー[ローベルト ゼーターラー]
1966年ウィーン生まれ。俳優として活躍する傍ら、2006年に小説『ビーネとクルト』で作家デビュー。本作で一躍人気作家となり、最新作『一生』(2014年)でグリンメルスハウゼン文学賞受賞、同英語訳は2016年ブッカー国際賞の最終候補作になった。

酒寄進一[サカヨリ シンイチ]
1958年生まれ。ドイツ文学翻訳家。和光大学教授。シーラッハ『犯罪』で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞。主な訳書にシーラッハ『テロ』、ノイハウス『深い疵』、グルーバー『刺青の殺人者』、セシェ『囀る魚』、ヘルト『赤毛のゾラ』、ヴェデキント『春のめざめ』など。

内容説明

自然豊かな湖のほとりに母とふたりで暮らしていた少年フランツは、田舎を離れウィーンのキオスクで見習いとして働くことになった。はじめてのひとり暮らしと仕事、都会の喧噪に期待と不安を感じながらも、キオスクの店主から新聞、葉巻、お客のことなどを学んでいく。そんなある日、忘れ物を届けたことで常連客のジークムント・フロイト教授と懇意になり、フロイトから人生を楽しみ恋をするよう忠告される。さっそくおしゃれをしてプラーター遊園地にくりだしたフランツは、謎めいたボヘミアの女の子に出会い、すっかり心を奪われてしまう…。ナチスドイツに併合されていくオーストリアの様子と、そのなかで少年が思い、悩み、考え、行動する姿を、静謐に物語る。

著者等紹介

ゼーターラー,ローベルト[ゼーターラー,ローベルト] [Seethaler,Robert]
1966年ウィーン生まれ。俳優として活躍する傍ら、2006年に小説『ビーネとクルト』で作家デビュー。最新作『一生』(2014年)でグリンメルスハウゼン文学賞受賞、同英語訳は2016年ブッカー国際賞の最終候補作になった

酒寄進一[サカヨリシンイチ]
1958年生まれ。ドイツ文学翻訳家。和光大学教授。シーラッハ『犯罪』で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第一位を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

139
人生は味わい深く、自然は美しく豊かだ。田舎から都会のウィーンのキオスクに仕事に来た少年の心の清々しさ。彼は思春期のリピドーに苦しみ、キオスクにやってくるフロイトと知り合い、自らの哲学と信念を形成していく。時代はナチスが台頭してくる時。ウイーンは屈した。ゲシュタポのイヤらしさと、アネシュカのしなやかさと悲しみ。彼のように人生について屈しない判断をした何人かの人を忘れるべからず。『ある一生』も間違いなく傑作だが、この作品の訴えが分かりやすく、いたましく、私はずっと浸っていたくなった。2019/10/03

mocha

113
キオスクの主人を頼って田舎からウイーンへ出てきた若者。初めての恋に暴走し、あのフロイト氏に助言を求める。じわじわとナチズムに染まっていく街で、何度も打ちのめされながらもけしてずる賢くならないフランツが悲しい。きわどいシーンもあるし〈はじめて出逢う世界のおはなし〉というシリーズ名は子どもっぽすぎる。著者が俳優だからかとても映像的。会話も自然で時代の空気がすごく伝わってきた。映画化されたらぜひ観たい。2018/01/31

はる

92
1937年、ナチズムが台頭するウィーン。田舎から出てきた17歳のフランツは小さな売店に住み込みで働くことに。恋愛のことも社会のことも知らない無垢なフランツは戸惑うことばかり。だが著名な精神科医であるジークムント・フロイトと出逢うと……。当時一級の知識人であるフロイトと無学なフランツが意気投合する様子が楽しい。だが、二人にとって時代の激流は容赦がなかった。フランツは純朴過ぎた。優しすぎた…。切ない余韻が胸に残る青春小説。2019/05/17

mii22.

73
1937年のウィーンが舞台とあれば、ああ、またナチスがらみのお話になるのかとちょっぴり気が滅入る。主人公はウィーンのキオスクで働くために地方から出てきた17歳の少年フランツ。不穏な空気にざわつく街のなかで青春真っ盛りのフランツは恋に悩み女性に振り回されながらも成長していく。キオスクという場所は雑多な人間、思考が往き来する場所。田舎町からやってきた無知で純朴な少年の心は時代の波に飲み込まれ故郷の湖の水底に沈んでしまったのか…フランツの早すぎる成長が頼もしくもあり哀しく痛ましくもある。2020/12/20

どんぐり

69
1938年6月4日、ジークムント・フロイトは80年をすごした町ウィーンを離れ、オリエント急行でパリを経由してロンドンに亡命した。その前年の夏、ザルツカンマーグートで母とふたりで暮らしていた少年フランツがキオスクで見習いとして働くためにウィーンにやって来た。ゲシュタポが跋扈し鉤十字旗がいくつも掲げられた都会で、少年は年上のボヘミア娘と出会い恋をする。女性を初めて知った若者の恋わずらい、キオスクの常連フロイト教授とのダイアローグ、ザルツカンマーグートにいる母親との手紙のやりとり、鉤十字旗に替わってはためく片脚2018/04/26

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