内容説明
ジョスバニは小心者でどもり気味、目立たないタイプの19歳。ヒロイズムに憧れる、ぼさぼさ長髪のヘヴィメタ好きだ。そんな彼の部屋に貼ってある“青いハーレーのポスター”と“白いユニコーンのタペストリー”は、もう何年も互いに見つめ合い、ため息をつき、いつか一緒になれることを夢見ていた。そしてある日、いましかないわ!と思ったハーレーは、ポスターからタペストリーへと飛び込んだ…相容れない世界に生きながら魅かれ合うふたりの姿をファンタジックに描く「バイクとユニコーン」をはじめ、90年代キューバの“特別な時代”を社会背景に、そこに暮らす人々の現実と希望を風味豊かに綴った「トラ猫」「生ける海」「キメラなど存在しない」ほか、近未来ディストピア小説「時のない都市」を収録。
著者等紹介
ジョシュ[ジョシュ]
1969年キューバの首都ハバナ生まれ。1991年ハバナ大学生物学部卒業。主にSFやファンタジー、リアリズムの短編を執筆し、エッセイや評論の分野でも活躍する。ダビッド賞SF部門(1988、キューバ)をはじめとする国内での文学賞に加え、UPC賞SF短編部門(2003、スペイン)など国外でも多くの賞を得ている
見田悠子[ミタユウコ]
東京大学大学院現代文芸論研究室博士課程在学。ラテンアメリカ文学を研究している。学術振興会特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
10
短編集。著者ジョシュの近影を見ると、笑っちゃうくらいマッチョな姿。こんなごつい男が、少年の恋心と無鉄砲さについて書いているかと思うとなんとも不思議だ。「トラ猫」における親子の結びつき、「生ける海」の少年の無鉄砲ぶり、「バイクとユニコーン」での異質なものどうしの愛などヒューマニスティックな物語が続く。どこかで読んだような話、しかもこじんまりとしているように感じられたのが残念。視覚的イメージの使いどころが上手なので、その点で突き抜けてくれるととても個性的な作家になれると思うけれど。2016/02/05
rinakko
8
“当初から二人は似た者同士だと感じていた。たぶん両者ともそれぞれの世界で伝説だからだ。” 魅かれあう青いハーレーと白いユニコーンを描く表題作はかなり好き。他の作品もとてもよかった。2015/09/23
ROOM 237
7
【キューバ版トイストーリー】わんさと推しを詰め込み、これが俺のスタイルだぜ作家による短編集。表題作の可愛いさよ!部屋の一角、左右の壁に直角で向き合って貼られた偽ゴブラン織りのユニコーンと、ポスターの青いハーレーが恋するおはなし。もう何年も見つめ合っているだけだったけど、ユニコーンは意を決してポスターへ飛び込みバイクを訪問!でも、体質の違う2人がどうやって恋人になるかが問題。部屋の仲間もひと役かって最後は🦄💖🏍著者がメタルとパメラアンダーソン推しなのが嫌というほどわかったw他作はイデオロギー強め。2019/09/01
圓子
7
これはこれは、気持ちのいいいお話集でありました。根っこに底抜けの明るさ。ちょうどいい諦念。日々ふわーりふわりとそれなりに、いろいろあってそれなりに、そこいらでそれなりに、生きているのです。ただ、最後の一編は行き詰まった現実社会を彷彿とさせる気味の悪い作品(これこそが本領発揮、らしい)。ひとすじなわではいかない作家だなー。キューバってどんなよ?ということと付き合わせて読んだらもっと面白そう。2016/10/14
みくに
4
最後の、時のない都市だけすんなり読めた。ハリウッドの映画になりそうだけどアメリカと中が悪いのかそうか。解説を読んで聞き慣れない単語がようやくしっくり来た。2024/01/04